「日本人は英語を勉強しているのに話せない」とはよく言われることです。一方、日本語と同じ語順の韓国語を使用する韓国では、英会話教育において日本よりも高い成果が上げられています。ここでは筆者が所属する「外国語教育グループ」にて実際に見た「韓国の小中学生の英語力」をご紹介し、日本の英語教育における問題点を探っていきます。
日本の英語教育は追いつけるか?「韓国の子ども」が持つ英語力の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

韓国の低学年英語教育の成果

私が今所属している外国語教育グループは20年来、韓国の海外交流団体と相互ホームステイ交流をしてきました。

 

夏休み、年齢は小学校4年生から中学校3年生までの青少年十数名が先生に付き添われて来日し、会員の家庭と有志の家庭に7日間滞在します。滞在期間中に、東京近郊あるいは近県の青少年施設でホストフレンドも一緒に2泊3日、ロッジで寝起きを共にして、交流を深めるための合宿に参加します。

 

自国の文化を発表し合ったり、外国語を使うゲームをしたり、キャンプファイヤーを囲んで歌ったり踊ったりする、お楽しみ会のような合宿です。交流を始めた頃、韓国の人たちは非常に熱心に日本語を学んでいました。隔年で交互に訪韓したり、来日したりするのですが、2006(平成18)年までは、韓国語と片言の日本語でのやり取りが多かったのです。

 

ところが、2008(平成20)年からは、日本語より英語での会話が多くなりました。感想文も大半が、韓国語から英語になりました。

韓国の子どもたちが英語で書いた感想文

2010(平成22)年夏の来日の時、合宿に参加していた1人の韓国人の男の子がシートのタイトルを指差して、“What’s this? (これはなんですか?)” と英語で聞いてきました。

 

その夏の韓国の子どもたちは大人にも英語で話しかけてきました。会の終わりに書いてもらう感想文用紙の表題は日本語で「感想文」と書かれ、下に英語が添えられています。

 

“Impression” という英語を指差して「イムプレッション」と読み上げると、うなずいて感想文を書き始めました。覗き込んで見ていると、英文で書いています。つまり彼は“Impression” は読めないけれど、聞くと意味がわかるのでした。

 

彼が記した英文を紹介します。英語を教えている人が読むと、正確な英文ではありませんが、言いたいことは十分に伝わってきます。日本文だとしたら、平均的な小学校2年生ぐらいの文章に相当するでしょうか。

 

(2010年夏グロウバル国際交流キャンプ 信州高遠少年自然の家にて)

 

小5 男子

 

Um…, it’s very funny time, so I’m happy, and here’s foods are very good so I’m happy, and here’s bathroom is very good so I’m happy, and here’s bedroom is very good, so I’m happy.

 

(機関紙『グロウバル』No.100 / 2010.8.25)