「日本人は英語を勉強しているのに話せない」とはよく言われることです。一方、日本語と同じ語順の韓国語を使用する韓国では、英会話教育において日本よりも高い成果が上げられています。ここでは筆者が所属する「外国語教育グループ」にて実際に見た「韓国の小中学生の英語力」をご紹介し、日本の英語教育における問題点を探っていきます。
日本の英語教育は追いつけるか?「韓国の子ども」が持つ英語力の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本語と韓国語の文の構造は同じ

英語の語順は例えば、“I am going to see a movie tomorrow.” ならば、日本語にすると、「私は、行くつもりです、見に、映画を、明日ね」と並んでいます。

 

英語を聞いて日本語に訳す時には「私は」の次は最後まで聞いてから「行くつもりです」と訳さなければならないので、訳し終えるまでに時間がかかります。日本人にとって英語のヒアリングが難しい理由の一つです。

 

「私は、行くつもりよ、見に、映画へ、明日ね」と、語順通りに情報を汲み取っていく聞き方に頭を切り替えると、少し楽になります。この点については、韓国語の語順も日本語と全く同じ組み立てをするので英語習得時の難易度を比較するには格好の言語と言えます。

 

韓国の英語教育は3、4年生が週2時間で年間60時間、5、6年生が週3時間の授業で年間90時間。その上に高いレベルの家庭学習の工夫が進んでいます。2011年からやっと始まった日本の公立小学校での英語教育は5年生から年間最多で35時間。

 

今の方法でこれだけの時間で例えば韓国との14年間のギャップを埋めるのは大変難しいと思います。

 

 

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五十嵐 明子

 

青森市生まれ。東京女子大学短期大学部英語科卒業。1967年から幼児の英語教育に携わり、並行して地域の子ども文庫活動に参加。

 

ラボ・チューター、ヒッポフェロウを経て、1987年にグロウバル言語文化研究会(2000年からNPO法人)の設立に参加。多言語習得を通しての国際交流活動に力を入れる(研究員・元役員)。