人生には「お金を貯めるべき」最適な時期があり、その時期を逃さずに資産形成をするべきだと、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏はいいます。人生100年時代といわれる現代、それはいつなのか、みていきましょう。
人生100年時代の資産形成…「お金を貯めるべき」最適な時期とは?【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

23歳から毎月2万円の積立を行うと…

新社会人となり、収入が少ない時期でも投資を始めておくべきと筆者の私は考えます。いまはインターネット証券会社のなかには100円から投資が可能となっています。ただ、100円程度の積立では、なかなか運用に対して実感がわかないと考えます。お金ではなくポイント運用というサービスを設けている証券会社も見受けられます。以前に比べると気軽に投資を始められる環境となっていると私個人は考えます。独身のときは、大きな目的のために資産形成をするという考えにはなりづらいかもしれませんが、資産運用を始めておくと資産運用のリスクに対しても、どういったものなのか実体験として身についてくると思います。

 

多くの方は、「リスクとは投資元本を下回り、マイナスとなること」だと思っているかもしれません。しかし投資でのリスクとは「不確実性や振れ幅のこと」をいい、投資元本を下回ることは運用中の過程に過ぎないともいえます。短期間でみれば投資元本を下回る可能性も高くなりますが、長期で見ると下落したとしても投資元本を下回る可能性がとても低くなります。

 

仮に23歳から1万円の積立を行い、30歳で結婚して、夫婦2人で2万円の積立を5年間行った場合、30歳までは84万円の積立、30歳から35歳までは120万円の積立を行うことができます。総額では204万円となります。このとき、5%の運用利回りで運用できたとすると、約265万円と約30%増やすことができることになります。

 

結婚後すぐにはマイホーム購入について、考えないかもしれませんが、子どもを授かり、それまで住んでいた住まいが手狭になる時期から頭金の準備を始めても、それ程の資金は貯まらないと思います。前述したように結婚後、子どもが幼いうちはまだ貯蓄のできる時期であると考えると、この時期からライフプランのイベントの準備を始めることで、ゆとりをもって準備を行うことができます。

 

先ほどは、結婚後、1万円ずつの積立でしたが、マイホームの購入を見越して、2万円ずつ積立を行った場合、約400万円を作ることができます。この時の積立額は323万円となり、約24%増やすことができたことになります。ここで、2万円増額したのに利回りが低下していることに気付いた人もいるのではないでしょうか。独身時と結婚後の増加率は同じなのですが、結婚後の投資額が増えたことで、全体の増加率が減少しています。

 

運用期間が5年と短いので投資額は増えましたが、増加額が全体でみると小さくなってしまっています。資産運用は複利運用が期待できるので、できれば運用期間を長くとることで運用利回りも上昇してくることになります。独身時代から2万円を積立し、結婚後に夫婦で2万円ずつ積立を行うと、積立額は408万円に対して約530万円となり、約30%増やすことができます。

 

新社会人になり、収入が少ない時期ではありますが、自分のライフプランを考えながら、自分への自己投資と合わせて、将来への資産形成を行うことで、自分の思い描いたライフプランを実現できる可能性は高くなります。現在、NISAという少額投資非課税制度もあり、年間の一定額の投資に対して運用益が非課税になります。こういった制度を活用しながら、人生100年時代の資産形成を行いましょう。

 

 

 

吉野裕一

FP事務所MoneySmith

代表