53歳の経営者、健康診断で「血糖値異常」も放置…油断が招いた「足指切断」の悲劇【医師が警告】

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53歳の経営者、健康診断で「血糖値異常」も放置…油断が招いた「足指切断」の悲劇【医師が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

中高年以降になるとなにかと耳にする機会の多くなる血糖値。健康診断で少し異常があっても、症状が乏しいため放置しがちですが、「最悪の悲劇」を向かえるケースも……MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博先生が、53歳男性経営者の事例をもとに高血糖がもたらすさまざまな疾患について解説します。

糖尿病が引き起こすさまざまな「合併症」

糖尿病の合併症は、細い血管に起こる「細小血管障害」と太い血管に起こる「大血管障害」に大きく分けられます。

 

最悪失明するケースも…「細小血管障害」の特徴

細小血管障害には「糖尿病網膜症」、「糖尿病腎症」、「糖尿病神経障害」があり、これらは糖尿病の罹患期間が長くなるにつれて発症率が高くなっていきます。これら3つの合併症の特徴は以下の通りです。

 

<糖尿病網膜症>

高血糖によって網膜の毛細血管に障害が起こり、十分な血液が供給されない状態です。目のかすみや視力障害、眼底出血による突然の視力低下などが起こり、最悪の場合失明するケースもあります。

 

<糖尿病腎症>

糖尿病によって、腎臓のろ過機能を担う糸球体に異常が生じ、体内の老廃物や水分、塩分の排泄がうまくできず、最終的には血液透析や腎移植が必要になります。

 

<糖尿病神経障害>

手足のしびれ、感覚鈍麻、大腿部の筋萎縮、筋力低下、顔面神経麻痺、たちくらみ、異常発汗、胃のもたれ、便秘、下痢、動悸、勃起不全など、障害が起こっている神経によって異なった症状があらわれます。糖尿病患者の約40%がこれらの神経障害を持っているといわれています。

 

脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす「大血管障害」 

一方、太い血管で起こる大血管障害では、「動脈硬化」が引き起こされます。

 

動脈硬化が脳の血管で進行すると「脳梗塞」、心臓で進行すると狭心症や心筋梗塞、足の血管で進行すると「閉塞性動脈硬化症」になります。それぞれの部位での特徴は以下の通りです。

 

<脳>

糖尿病患者は、糖尿病でない患者に比べて脳梗塞の発症リスクが2~4倍高くなっており、若い世代に多いのが特徴です。

 

<心臓>

狭心症や心筋梗塞を起こしやすく、神経障害を伴うために無痛のケースが多いです。近年では日本人の発症頻度の増加が問題となっています。

 

<足>

健康な人に比べて3倍近くのリスクで、「閉塞性動脈硬化症」を発症します。一定の距離を歩くと足が痛くなったり、冷えやしびれを感じたり、重症の場合では安静にしていても痛みを感じ、やがて末端の皮膚潰瘍や壊死を生じるケースもあります。

私は大丈夫?…血糖値の数値を知る検査方法

血糖値の正常値は、空腹時で110mg/dl以下です。

 

健康な人であれば食後に血糖値が上がっても、インスリンの分泌で再び正常値に戻りますが、糖尿病の疑いのある高血糖の人はこの働きがうまく作用せず、高い数値を示し続けます。

 

血糖値の数値を知るための検査は、食事の影響によって変動する血糖値を3つのタイミングで測定します。

 

・随時血糖検査

食事と無関係に血糖値を測定します。数値が200mg/dL以上ある場合は、糖尿病型と診断されます。

 

・空腹時血糖

10時間以上絶食した状態の血糖値を測定します。126mg/dL以上ある場合は、糖尿病型と診断されます。

 

・ブドウ糖負荷試験

10時間以上絶食した状態の血糖値を測定し、75グラムのブドウ糖を飲んだ後30分、60分、120分の血糖値を測定します。

 

※明らかに糖尿病の自覚症状がある患者には、さらに高血糖を引き起こす可能性があるためこの測定方法は行いません。

 

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