お子さんが薬を飲んでくれないと「症状が治らない」とママやパパは焦ってしまいます。どうにかしなきゃと思えば思うほど上手くいかないもの。 薬剤師であり、医療通訳でも活躍されているNorikoさんに「子どもに薬を上手に飲ませるポイント」をうかがいました。
なぜ薬は苦い?子どもに薬を上手に飲ませる6つのポイント【薬剤師が解説】

「苦くて飲みたくない…」。そもそも、薬が苦いのはなんで?

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お子さんに限らず、薬が飲みにくいいちばんの原因は味です。たいていの薬には苦みがあります。私たち人間は匂いや味で「安全」なものか「危険」なものかを判断する能力をもっており、苦みは危険と判断するために「飲みたくない」と感じるのです。大人になれば「苦くても体にとって必要」と理解して我慢しますが、お子さんには難しいものです。

 

それにしても、なぜ多くの薬に苦みがあるのか不思議に思いますよね。あの苦みは「アルカロイド」と呼ばれる成分が原因です。アルカロイドは水に溶けにくい特徴を持っており、薬が小腸で吸収されるための重要な役割を担っています。

 

薬の成分は主に小腸で吸収されるのですが、小腸の内側の壁には油膜が張られており、水分が入りにくい構造になっています。そのため薬にはアルカロイドを混ぜ、小腸の壁を通りやすくしているのです。効果を発揮するために苦みが必要というわけです。

 

薬を上手に飲ませるポイント① 甘いシロップが苦手な場合

水に溶ける薬の場合には、味をつけたシロップで処方されることがあります。しかし、シロップの味が苦手なお子さんもいます。苦い薬の味を消すための強い甘みが案外嫌いという子は少なりありません。

 

一度、シロップで「嫌いなもの」と認定してしまうと、味の違うシロップも嫌がるようになってしまうケースが多いようです。シロップで失敗した場合には、粉薬に変更してもらい、飲み物や食べ物に混ぜるほうが飲ませやすいかもしれません。

 

薬を上手に飲ませるポイント② 「1日3回食後」の飲ませ方

「食後」と表記があっても、ほとんどの薬は食前に飲んでも問題ありません。小さいお子さんの場合、満腹になると薬を拒否することもあります。そのような場合には薬剤師に確認は必要ですが、「食前」に飲ませて構いません。「胃を荒らすのでは?」と心配される親御さんもいますが、子どもの薬ではそのようなことはほとんどありません。

母乳やミルクを飲んでいる時期は、食後のゲップで薬を吐いてしまうこともあるので、かえって食前に薬を飲ませ、10分ほど経ってから母乳やミルクを与えるほうが安心かもしれません。

 

薬を上手に飲ませるポイント③ 服薬の間隔の目安

一般的に、1日3回の場合で4時間、1日2回であれば5時間以上あけるように推奨されています。朝ごはんが遅くなってしまったなど、食事の間隔が極端に短くなった場合には、無理に3回飲ませなくても大丈夫ですが、食欲がなくて食べられない場合には、食事の回数に関係なく4~5時間の感覚をあけて3回飲ませてください。

 

薬を上手に飲ませるポイント④ 服薬後に吐いてしまった場合

吐いてからどれくらい時間が経ったかにもよりますが、吐しゃ物に薬が混ざっていてもすでに成分が体内に吸収されている場合もあります。迷ったときには薬剤師に電話をして確認してください。たいていは「再服薬はしなくてよい」と判断されると思います。もちろん病状や薬の種類にもよりますので、必ずプロの判断を仰いでください。

 

薬を上手に飲ませるポイント⑤ 粉薬を飲みやすくする方法

水分で溶かすか、食べ物に混ぜるなどが一般的だと思いますが、いずれにしても必ず薬局で「混ぜないほうが良いもの」を確認するようにしてください。水分に溶けにくい薬もあれば、混ぜたことで効能が変わってしまったり、苦みが増してしまったりする場合もあります。

 

基本は甘いものに混ぜるのが飲みやすいと思います。ぐるぐると混ぜてしまうより、薬を包み込むようにして舌に薬が触れないようにするのがポイントです。アイスクリームやバナナで薬を包み、離乳食期であれば、さつまいもやカボチャのペーストに混ぜるのもおすすめです。上あごにペーストごとつけるようにすると「ごっくん」と飲み込んでくれると思います。

 

薬を上手に飲ませるポイント⑥ 錠剤にチャレンジする場合

5歳くらいになると、案外、錠剤を飲めるようになる子も多くなります。小さい錠剤であれば、ゼリーで包んで一口で飲ませるのも手です。粉を包むより簡単ですし、苦みを感じにくいでしょう。錠剤に変更するとどれくらいの大きさになるか、医師や薬剤師に相談してみてください。

 

ただし、錠剤を分割したり、カプセルの中身だけを飲ませたりするのはNGです。薬の吸収速度を計算した形状になっており、分割することで効き目が強くなりすぎたり、反対に弱まってしまったりすることもあります。分割して飲ませたい場合には、必ず薬剤師に相談をしてください。