基本的に給与を得ずに家事労働をしている専業主婦。ネット上で「専業主婦の仕事を年収換算したら……」と論争が巻き起こっています。実際のところ、専業主婦が給与をもらえるとしたら、いくらくらいもらえるものなのでしょうか。考えてみましょう。
日本人の平均給与は443万円だが…「専業主婦」は「年収いくら」もらうべきなのか? (※写真はイメージです/PIXTA)

「無償労働を我慢しろ」論者が批判する「専業主婦優遇」

色々な算出の仕方があるでしょうが、年収386万円は手にできそうな専業主婦の仕事。「無償でやっているのだから、もっと感謝して!」という声が目立ちますが、「専業主婦は優遇されているのだから、不満など言うな!」という反論が。

 

たびたび批判の的となる、いわゆる「専業主婦優遇」。本来、日本に住んでいる20~60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」の保険料ですが、専業主婦は「第3号被保険者」とされ、配偶者である第2号被保険者が加入している被用者年金制度(厚生年金保険や共済組合など)の保険者が集めた保険料や掛金などの一部を基礎年金拠出金として毎年度負担しているため、自身で保険料を納付する必要はありません。

 

またパートやアルバイトで給与を得た際には、年収103万円までであれば非課税。年収150万円までなら夫は38万円の「配偶者特別控除」を受けることができ、年収150万円~約201万円では段階的に減額されるものの、配偶者控除の適用となります。夫の収入を考慮して働けば、世帯年収をあげることができるわけです。

 

このような優遇措置ができたのは1980年代で、専業主婦世帯のほうが圧倒的に多かった時代。1990年代には共働き世帯が片働き世帯を上回り、現在は共働き世帯が片働き世帯の倍近くになっている状況。「時代に合っていない制度は見直すべき」という論調が高まっています。また専業主婦優遇が女性の社会進出、女性の低収入の元凶という主張も。とにかく専業主婦優遇は目の敵にされています。

 

専業主婦をめぐる、さまざまな論争。「専業主婦の仕事を年収に換算したら」については、妻「感謝もない」、夫「家にいてラクをしているのに」といった主張の食い違いが原因。「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」といいますが、その延長戦でしかありません。