ネットで論争が繰り広げられる「専業主婦の年収換算」問題
専業主婦の年収は1,300万円を超える……そんな主張が発端となり、ネット上で論争が繰り広げられています。
なぜ、そんなに高給になったかといえば、「専業主婦の仕事は24時間」という考えから。確かに子育て中であったり、家族の介護をしていたりしたら、そのような人もいるかもしれませんが、それは少々極端な考えだったかもしれません。
国税庁『令和3年分民間給与実態統計調査』によると、2021年、民間企業で働く人の平均給与は443万3,000円。男女別にみると、男性545万円、女性302万円です。雇用形態別にみていくと、正社員(1年を通じて勤務した給与所得者)は508万円、非正規社員は198万円。さらに男女別にみると、男性正社員は570万円、女性正社員は389万円、男性非正規社員は267万円、女性非正規社員は162万円でした。
日本人の平均給与443万円の内訳をみていくと、平均給料・手当は377万円(男性460万円、女性262万円)、平均賞与は67万円(男性86万円、女性41万円)。平均給料・手当に対する平均賞与の割合は17.7%(男性18.6%、女性15.5%)でした。
さらに事業所規模別にみると、従事員10人未満の事業所では358万円(男性444万円、女性258万円)、従事員5,000人以上の事業所では515万円(男性669万円、女性295万円)。10人未満の中でもさらに従業員1~4人の事業所は327万円(男性402万円、女性245万円)です。
専業主婦の年収を考える際、雇用主が夫で従業員が妻という事業所だと考えれば、年収327万円あたりが妥当でしょうか。
また厚生労働省『令和3年賃金構造統計調査』では「家事代行」は「その他のサービス職業従事者」に分類されますが、月収(所定内給与額)は26万1,800円、推定年収は386万1,400円です。所定内実労働時間数は163時間、超過労働時間は9時間ですから、仮に1ヵ月の稼働時間が22日だとすると、1日7.8時間労働、という計算になります。
専業主婦の仕事が家事だけではありませんが、会社員として同じことを行ったら、年収386万円程度。そのあたりが妥当な給与額といえるでしょうか。