新築物件よりも購入価格が安いことから、高い利回りを出しやすいとして中古不動産投資が注目を集めています。では、実際に中古マンションで投資を始めた場合、どの程度の利回りを見込めるのでしょうか。本記事では、中古不動産投資の利回りやメリット・デメリット、ありがちな失敗例とその回避策などについて解説していきます。
新築よりも高利回りになりやすい…中古マンションを2,000万円で購入、家賃8万円で貸した場合の「驚異の利回り」

中古物件購入の注意点

中古物件を購入する際は、次のような点に注意する必要があります。

 

構造の欠陥がないか

中古物件は建築されてから年数が経っているものも多いため、過去の災害により構造に欠陥や損傷がある場合があります。地震大国の日本では、特に耐震性が高いかは重要なポイントです。

 

また、物件そのものの構造だけでなく、物件が建っている地盤の固さにも注意が必要です。地震が生じても液状化しないか、地盤の緩いエリアにないか、といった視点でも確認するようにしましょう。最近では自治体がハザードマップを公開しているので、これらの資料を活用してマンションが建っている場所にどんなリスクがあるのかを精査するのも有効です。

 

建物の状態に不具合がないか

中古物件を購入する前に必ず内見をし、まずは外観から物件のメンテナンス状況を確認することが大切です。

 

確認すべき点としては、「外壁のヒビ割れはないか」「継ぎ目に入っているコーキング材は剥がれていないか」「軒裏に雨のシミやヒビ割れはないか」「基礎部分は割れや損傷はないか」「屋根に損傷や雨漏りの跡はないか」「床にふわつきがないか」「シロアリ被害がないか」などです。物件の現状を把握できると、今後どのくらいのメンテナンス費用がかかるか想定できます。

 

借地権付き物件は選ばない

借地権付き物件とは、借地権が付与されている売物件であり、土地が借地であることを意味します。借地権付き物件は土地と建物の所有者が別なため、建物だけを購入すると地主に毎月土地代を支払う必要がでてきます。たとえ物件が安く手に入っても、毎月固定費として土地代を支払い続けることになるため、注意が必要です。

 

人口が減少している地域は避ける

人口が減少している地方の物件は、入居希望者そのものが少ない点がリスク要因になります。空室率が高くなったり一度退去すると次の入居者探しが大変になったりする可能性があります。よって、人口が減少している地域の中古物件への投資はできるだけ避けたほうがよいでしょう。

 

都心の中古ワンルームは、単身赴任者や独身者、若者など幅広い年代に高い需要があります。物件だけでなく立地の将来性も考慮しながら投資戦略を考えましょう。

 

1981(昭和56)年以降の物件か確認する

1981年から建物の耐震基準が新しくなったため、1981年以前の物件は現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。大きな災害が生じると倒壊の危険性があるため、旧耐震の建物の場合は耐震診断をしているか確認してください。もしも耐震診断がされていない物件の場合は、耐震性について専門家に確認や相談をしましょう。

 

リフォーム費用の相場を確認する

中古物件のリフォームを検討している場合は、費用が相場と大きくかけ離れていないか注意が必要です。国土交通省が発表した「令和3年度 住宅市場動向報告書」によると、リフォーム費用の相場は平均201万円となっており、この費用のうち自己資金比率(投資で必要な総資金のうち自力で調達した資金)は80.3%です。

 

中古不動産投資において200万円を超えるリフォーム費用は、利回りだけでなく投資戦略に大きく関わることになります。どの程度のリフォームでどのくらいの費用がかかるか事前に確認することが重要です。

 

実質利回りを確認して判断する

先ほど新築と中古それぞれのマンション投資を想定して利回りを試算しましたが、そこでも述べているように、試算結果は表面利回りです。物件のメンテナンスや管理に要する費用、税金、ローンを利用している場合はローン返済などを考慮していないため、現実に即した数値ではありません。

 

こうした費用をすべて加味した利回りのことを、実質利回りといいます。中古物件だけに限らず不動産投資の収支シミュレーションでは実質利回りをどこまで正確に試算できるかが重要です。不動産会社が提示しているシミュレーションが実質利回りなのか、どこまで正確な数値なのかをしっかり精査しましょう。

 

融資を受ける際は頭金が必要

中古マンション物件が新築よりも安いからといっても、多くの場合は数千万円規模の買い物になります。そのため資金の大部分を金融機関の融資で調達するケースが大半です。この場合、全額を融資でまかなうフルローンは現実的に難しいので、一定比率の自己資金が必要です。

 

融資を利用する人の信用状態や物件の収益性にもよりますが、少なくとも1割、一般的には2割程度の自己資金を用意しておくのが目安になります。しかしながら、中古でも品質のいい物件や取り扱う不動産会社によってはほぼ全額を融資でまかなうことが可能で、自己資金を大幅に抑えられるケースもあります。気になる物件が現れたら、取り扱いをしている不動産会社に問い合わせることをおすすめします。

 

物件価格が安すぎる場合は理由を確認

中古不動産には厳然とした相場があります。その相場を逸脱した安値で売られている物件には何か理由があると考えるようにしましょう。そうでなければ、不動産のプロである不動産業者が見過ごすはずはなく、すぐに売れてしまうからです。

 

相場よりも安いと感じた物件は安いからと飛びつくのではなく、不動産会社にその理由を確認するようにしましょう。その理由が腑に落ちない場合は、自分なりにネット検索などで調べてみるのも有効です。