時給58円!? 脱走する若手医師続出…「大学病院」の深すぎる闇【医師の告発】

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時給58円!? 脱走する若手医師続出…「大学病院」の深すぎる闇【医師の告発】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「ブラック企業」という言葉が広く知れ渡ったことにより、無茶な働き方を強要する企業は減ってきています。しかし、現代においても「薄給・長時間労働」が当たり前の職業が存在します。それが医師、特に「大学病院の若手医師」です。今回、高座渋谷つばさクリニック院長の武井智昭氏が、にわかには信じられない「大学病院の深すぎる闇」を告発します。

日本の医療サービスは「ブラック病院」のおかげ?

医師の過重労働について、過去の報道などですでに知っている人はすくなくないでしょう。実際の労働時間は月80時間を平然と超え、時間外手当がほぼ支給されない大学病院を筆頭に、いわゆる「ブラック病院」の勤務体制の恩恵として、高度な医療を提供ができている……医療業界にはこうした現実があります。

 

なかでも、医師の働き方で大きな課題となっているのが、勤務時間の長さと日・当直の問題です。

 

一般的な業種において、労働基準法第32条により法定労働時間は「1日8時間/1週間40時間」という規定があります。法定労働時間を超過すると残業として時間外手当を支給することが原則ですが、医師の勤務実態として勤務時間・休憩時間に明確な線引きが行われることは業務の性質上困難であり、呼び出しや日・当直勤務を含めた勤務時間の管理が曖昧になっています。

 

また、当直もほぼ救急外来で勤務をして、そのまま翌日に診療・検査・手術など、息つく暇もなく、綱渡りの診療を強いられていました。

 

元号が令和に変わっても、昭和・平成からの伝統を引き継ぐ大学病院では、大学院生を筆頭とした「無給医」が存在していました。社会保障もされていない「ブラック病院」の筆頭候補です。筆者が大学病院での研修医時代には、月給25,000円(時給換算58円)ということがまかり通っていました。

 

そのようななか、こうした医師の過重労働による医療安全を危惧する動きから、近年、社会的な風潮となっている「働き方改革」が、2024年4月よりついに医療業界でも実施されることになったのです。

新たに設定された医師の労働基準

具体的には、医師の臨床経験年数・急性期などの医療機関の特性に応じて、3つのレベルで基準が設定されました。

 

■A水準:すべての医師(診療従事勤務医)

時間外労働規制:年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

■B水準:地域医療暫定特例水準(救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関)

時間外労働規制:年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

■C水準:集中的技能向上水準(初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師)

時間外労働規制:年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

 

※厚生労働省資料「時間外労働規制のあり方について⑥」「医師の働き方改革について」から

 

これに加えて、日・当直やオンコール勤務、大学病院から紹介・派遣されて非常勤勤務(アルバイト)の外勤・当直に関してなど、複数の医療機関で勤務する場合にも適用されることになりました。

 

さらに、当直翌日の勤務など、連続勤務時間に関しても制限が設定されることになり、医師の心身に関して良好に保ち、質の高い医療を提供する方針となりました。

 

■連続勤務時間制限・勤務間インターバル・代償休息

連続勤務時間制限を28時間以下

(いわゆる「寝当直(起こされない=救急外来の対応がない)」とされる、労働基準法上の「宿日直許可」を受けている場合を除く)。

■勤務間インターバル(いずれも連続勤務制限を28時間とする)

通常の日勤後、次の勤務までに9時間のインターバルを確保する。救急外来を対応する当直明けの日は18時間のインターバルを確保。

■代償休息

連続勤務時間制限および勤務間インターバルを実施できなかった場合は代償休息を付与

 

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