大学医局の凋落…はじまった若手医師の「大脱走」
これまでの時代、特に産婦人科や小児科では医師同士「俺、今月は月8回の当直(翌日も普通に働く36時間勤務)だぜ」とか「俺は、土曜日から月曜日の夜まで、外のA病院の日当直から、B病院に外勤を経て大学勤務で、家に帰ってないぜ」などという時代錯誤な武勇伝を語っていましたが、これらは過去の産物となります。
なぜ、大学病院の勤務医はこのような勤務を強いられるのでしょうか? それは、大学病院からの給料が薄給であり、アルバイトをしないと生活を維持することができないからです。
若手医師は一般的に、助教・後期研修医枠として月給25~30万円が支給されていますが、週に1日(午前・午後)に医局公認のアルバイトが許可されています。
アルバイトの単価が1コマあたり5万円であり、5万円×2(コマ)×4(週)=40/月万円の収入。これに加えて、大学病院以外の当直のアルバイト(1回当直あたり8万円)を月2回して16万円。これ以外にも自分自身でアルバイトをする医師もいます。
主たる勤務先からの給与は、大学にもよりますがおおよそ年300万円程度、その他の外勤から(40万円+16万円)×12ヵ月=年672万円であり、そのほとんどが、常勤先と比べて時間拘束が圧倒的に少ない「大学外部の勤務」に依存しています。大学からの緊急呼び出し・当直代の支給は雀の涙程度であり、拘束時間と比較してコストパフォーマンスが悪いというのが実情です。
こうした状況で2024年から実施される「働き方改革」が適応される場合、大学病院の超過勤務により外勤をする時間がなくなることから、大幅な収入減少となります。
そのため、これまで権威・キャリア・学位等と引き換えに、若手医師を薄給と過酷な待遇で「こき使っていた」大学医局から、若手医師の大脱走劇が始まっています。
近年でも、2020年から新型コロナウイルス感染症拡大によってしわ寄せを受けた大学病院では、沈みゆく船に(深刻化したブラック労働の現場)に希望を見いだせず、さらに東京女子医科大学病院の実質的な給与削減(同一賃金での実労働時間の延長、あるいは同一勤務時間での実賃金削減)が、その動きを加速させました。
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