中古マンションのリノベーション投資は、単に「古くなったマンションを新築マンションのようにする」というだけでは成功しません。成功の成否を左右するのは「入居率」。リノベーションにより入居率を上げる方法について、詳しく解説します。
中古マンション「リノベーション投資」のポイント…入居率を上げる秘訣とは?

リノベーションでのローン利用時の注意点

不動産投資向けローンの融資期間は建物の法定耐用年数によって決まります。ほとんどのマンションは法定耐用年数が47年なので新築マンションの残存耐用年数はそのまま47年ですが、築20年の中古マンションは残存耐用年数が27年になります。

 

金融機関のローンは原則として法定耐用年数内の融資期間になるため、築年数が進んでいる中古マンションほど融資期間は短くなります。融資期間が短くなると毎月の返済額が大きくなり、それを返済できるか否かの判断基準もおのずと厳しくなります。中古マンションをリノベーションするリノベーション投資では、ローンの利用時に以下の3つの注意点があることを押さえておきましょう。

 

・新築と比べて担保価値が低いとみなされ、ローンの審査で不利になる

・残存耐用年数が短いと融資期間も短くなる

・借り入れできるのは物件の購入費用でありリノベーション工事費用は含まれない

 

リノベーション投資「物件選び」のポイント

中古マンションをリノベーションしたからといって、どの物件でも成功できるわけではありません。すでに述べているように、不動産投資では入居者が付き家賃収入が発生してはじめて成功への道筋が見えてきます。そして、成功させるために重要になるのが、リノベーションをする価値のある物件選びです。ここでは、6つのポイントでリノベーション投資向けの物件を選ぶ際のポイントを紹介します。

 

デザインはマッチしているか

入居者から支持されるデザインであるかどうかは、リノベーション物件の生命線ともいえる部分です。例えば、若年層の多いエリアであまりに落ち着いたテイストの内装デザインは、物足りなく感じられてしまうでしょう。また女性入居者が多い場合は、デザインだけでなくキッチンや浴室などに手を加えてより清潔感のある部屋にすることも大切です。

 

リノベーションは漠然と凝ったデザインをすればよいわけではなく、ターゲットを明確にしなければ入居者の心には響きません。リノベーション物件を検討する際はそのエリアの入居者層などを不動産会社に確かめ「入居者のニーズにマッチしているか」という目線で見るようにしましょう。

 

ニーズのある部屋タイプか

賃貸の部屋タイプには、ワンルームタイプとファミリータイプがあります。安定した賃貸運営を目指す場合は「そのエリアでどちらの部屋タイプの需要があるか」についてしっかりと調べて購入しましょう。的が外れた部屋タイプでは、入居者の候補となる人数自体が少なくせっかくリノベーションした物件でも空室となるリスクが高まります。

 

単身者の多い都心では、ワンルームタイプが当然有利です。郊外や地方都市であればファミリータイプの需要が高いエリアもあるかもしれません。ただし、ファミリータイプを検討する際は「マンションか」「アパートか」「戸建てか」など多角的に検討することが必要です。賃貸は、借りてもらってこそ収益になることを忘れず、ニーズのある部屋タイプを選ぶようにしましょう。

 

賃貸需要は有利か

東京カンテイの2022年2月14日のプレスリリース(※)によると、東京都の2022年1月の分譲マンション賃料は、前月に比べわずかに弱含みとなったものの他の地域に比べ高い水準で推移しています。1年を振り返ってみても、1平方メートルあたりの賃料は2021年1月の3,198円から3,297円へと上昇しており手堅い需要があるといえるでしょう。

※2022年2月14日のプレスリリース

 

こうした賃貸需要の落ちにくいエリアであれば、リノベーションした物件のニーズも十分にあると考えられます。しかし逆に賃貸需要のないエリアで中古マンションを購入してリノベーションをしたとしても、入居者が現れず空室になるリスクが高まりかねません。リノベーションで付加価値のある物件を手に入れても借りる人がいなければ単なる負債になってしまいます。「借り手が豊富にいるエリア」ということをしっかりと確認したうえで物件を購入するようにしましょう。

 

交通の便はよいか

交通の便が悪ければ、いくら部屋の魅力が高くても居住意欲は下がってしまいます。特に賃貸需要の高い都心で注意しておきたいのが最寄駅までの距離です。貸物件を探す人は駅からの徒歩時間で物件を選別する傾向があり、最寄駅から10分以上かかるようだと候補から除外されやすくなります。賃貸物件の検討初期段階では部屋の状態が注目されますが、実際の絞り込みでは交通の便も重視されるため、物件選びでは注意するようにしましょう。

 

生活しやすい環境か

実際に生活するとなれば周囲の環境も非常に大切で、より選ばれる物件にするためにもしっかりと確かめておく必要があります。たとえば、入居者が単身者と想定されるならコンビニが近くにあると非常に有利です。コンビニは買い物だけでなくATMの利用や公共料金、税金の支払いなどもできる生活ハブの機能を持っているため、それらをアピールすれば大きなメリットと捉えてもらえます。

 

また近くに公園や遊歩道などがあれば、運動不足解消や在宅ワークの気分転換などさらなる付加価値を訴求できるでしょう。物件選びでは、周囲に生活のしやすさにつながるポイントがないか、十分にチェックすることが大切です。

 

建物状態はよいか

室内がニーズに合ったリノベーションを施されていた場合でも、必ず建物全体の状態まで確かめるようにしましょう。なぜならいくら部屋の付加価値が高くても、あまりに建物外観や共用部分が劣化していたり汚れていたりすれば内見に訪れた人に敬遠されてしまうからです。「エントランスが破損している」「階段の掃除が行き届いていない」「廊下の電気が切れている」などがないか確認しておくと安心です。

 

またゴミ捨て場もぜひ確認しておきたい部分で、ゴミ出しの日が守られず汚らしいようであれば入居者の素行も疑われかねません。そうした物件ではせっかく入居してもらっても不満がつのり早々に退去され空室となってしまう可能性もあります。内見に訪れた人に好印象を持ってもらい長く快適に住んでもらうために、部屋以外の建物状態をしっかりと確かめるようにしましょう。

リノベーション投資を成功させるために

中古マンションのリノベーション投資は、コスト面やニーズに合致した物件づくりができることなどメリットが多く、すでに多くの成功例があります。しかしながら、中古マンションをリノベーションすれば必ず成功するというわけではありません。中古マンションのリノベーション投資をするにあたって留意しておくべき注意点や物件選びのポイントなども押さえたうえで、計画を練るようにしましょう。