新築物件と中古物件、不動産投資で有利なのは?
新築物件と中古物件のどちらが投資に有利なのか、これは不動産投資において永遠のテーマともいえるものです。なぜならこの両者は物件によって一長一短であり、一概にいうことができないからです。
そもそも新築物件と中古物件では購入価格が異なりますので、賃貸にだしたときの収益率も大きく異なります。さらに投資としての収益には家賃収入のみならず、売却時の価格も含まれます。このことから、新築物件と中古物件のどちらにおいても「収益性」と「資産価値」が下がりにくい物件を選ぶことが、失敗しないための鉄則といえます。
ただし、物件の価値は築年数だけで決まるわけではないことにも注意が必要です。不動産には立地という条件も含まれるため、ひとつとして同じ物件があるわけではありません。たとえ、築年数が古くても賃貸に出したときに借主にとって利便性がよい立地であったり、人気エリアであったりすれば空室リスクが低いと考えられるため、投資対象として注目すべきでしょう。
中古物件は建物が古いため人気が出にくい場合もあります。しかし、利便性や立地条件が良ければリフォームやリノベーションによって価値を再生できる可能性があるのも事実です。新築物件と中古物件のどちらにも共通していえることは、築年数以外の諸条件を見据えた物件選びが重要になることです。これこそが、その後の結果を大きく左右するポイントになります。
新築物件に投資するメリット・デメリット
新築物件の最大の魅力は、貸し出すときに家賃を高く設定できることでしょう。また、新築マンションは建物や設備がどれも新しいため、当面は突発的な修繕が少ないこともメリットのひとつです。
定期的なメンテナンスはある程度計画することができますが、突発的な修繕は想定外の出費につながります。こうしたリスクが低いことで、新築マンションは不動産投資の初心者向きであるとの考え方もあります。ただし価格面においては、新築マンションの場合「新築プレミアム」と呼ばれる業者利益が乗せられ、購入価格も高くなることを知っておかなければなりません。中古物件と同等条件の物件でも購入価格は20~30%ほど高くなる傾向があります。
中古マンションは市場の需給で価格が決まりますが、新築マンションは業者利益を含む「そのマンションを用意するために要した費用」から決められるため、これが「新築プレミアム」となって物件価格を押し上げてしまうのです。
賃貸に出すときは「新築」という付加価値を付けられ、周辺相場より高い家賃設定ができますし、新築物件に住みたいというニーズは多いため、入居者も見つけやすいでしょう。しかし、一度貸し出した物件は後に中古物件として扱われることになりますので、幾度かの貸し出しを経て、家賃は徐々に下げられることになります。
首都圏では2020年頃から新築マンション価格の高騰が起きており、新築マンションの取得価格はますます高くなっています。その一方で、取得価格が高かったからといって家賃を大幅に引き上げられるわけではないので、新築マンションの収益性はどうしても下がってしまいます。
また、貸し出した物件を売却する際は、物件の立地などにもよりますが、新築プレミアム分を値下げせざるをえないでしょう。2022年現在も進行中のマンション価格高騰はいつか収束すると考えられるため、高い価格で買ったマンションなのに売却する頃には「本来の相場」でしか売れないかもしれません。
中古物件に投資するメリット・デメリット
中古マンションは新築マンションと違って「新築プレミアム」がなく市場価格で取引されているため、基本的に購入額を安く抑えることができます。しかも中古マンションは流通量が豊富で、物件の選択肢も増えます。
これら2つのメリットをいかして、中古マンションは自分の予算やプランに応じた無理のない投資をできることが特徴として挙げられます。また、中古物件は「新築プレミアム」がないことで新築と比較すると家賃は相対的に安価になり、家賃の下落率も低減しますので家賃収入の安定が見込まれます。
その一方で、中古マンションは状態によって建物や設備の老朽化による維持費の発生や物件としての魅力の低下が起こる可能性が高く、空室率が高くなってしまうリスクがあります。そこで物件の集客力を高めるために室内のリフォームや設備のリニューアルを行う手法がとられることもありますが、もちろんこれにはコストがかかります。
「新築プレミアム」がない分コストパーフォーマンスに優れているため、収益性は新築物件よりも高くなる傾向にありますが、安いからといって築年数の古すぎる物件や付加価値の再生が困難な物件買うと、空室リスクに悩まされることになります。中古物件は、コストパーフォーマンスのみならず、その物件の競争優位性にも着目して、顧客視点で選ぶことが重要です。