中古マンションのリノベーション投資は、単に「古くなったマンションを新築マンションのようにする」というだけでは成功しません。成功の成否を左右するのは「入居率」。リノベーションにより入居率を上げる方法について、詳しく解説します。
中古マンション「リノベーション投資」のポイント…入居率を上げる秘訣とは?

リノベーションでかかる費用

中古マンションを購入してリノベーションをするリノベーション投資は、中古マンション購入後すぐに賃貸経営をするわけではないので、リノベーション投資特有の費用を知っておく必要があります。ここでは、リノベーション投資を始めるのにあたって必要になる3つのプロセスで発生する費用の目安について解説します。

 

中古マンション購入費用

リノベーションをする「土台」となる中古マンションの購入費用は、中古マンションの築年数によって大きく異なります。以下は、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」レポートの2021年版に掲載されている、中古マンションの築年帯別平均価格です。首都圏の中古マンションがどれくらいの価格で取引されているかを知る目安になります。

 

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」(2021年版)
[図表]中古マンションの築年帯別平均価格 出典:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」(2021年版)

 

このグラフをみると、築年数が進むにつれて中古マンション価格が低下している様子がみて取れます。築30年以降は横ばいになっていますが、それまではおおむね築年数が進むと価格は安くなると考えてよいでしょう。

 

たとえば築20年であれば4,000万円程度が中古マンションの平均価格ということになりますが、これはすべての物件タイプが含まれているため、高額になる傾向があります。ワンルームマンションなどほかのタイプよりも安く購入できる物件タイプだと、これよりも安く購入できると考えられます。

 

中古マンションリノベーションにかかる費用

リノベーション費用については、物件によってどこまで手を入れる必要があるのか、リノベーションによってどこまでの価値再生を求めるのかによって費用は大きく異なります。その目安を知るために、リクルート住まいカンパニーが2017年に調査・発表した「大型リフォーム実施者調査」から平均値を引用してみたいと思います。同調査では「大型リフォーム」と表現していますが、一部の修繕やリフォームではなく物件全体のリフォームをした費用を調査しているので、リノベーション費用の目安になると考えられます。

 

この調査によると、大型リフォーム費用の全体平均は610.4万円です。物件のタイプや工事の規模はさまざまですが、おおむねこれだけの費用を要するという目安にしていただければと思います。他社が紹介している費用目安を見ても、これよりもやや高い程度の金額が提示されており、おおむねこの水準であると考えて良いでしょう。

 

中古マンションリノベーション後のメンテナンス費用

投資物件を購入した後で発生するメンテナンス費用については、中古マンションを購入して何もしないより、リノベーションをしたほうが安くなります。なぜなら、リノベーションによって室内の設備を更新しており、それらの劣化が進むのは先のことだからです。管理会社に管理を委託する場合の管理費や修繕積立金の支払いがありますが、これらの費用負担は新築であってもリノベーションをした中古マンションであっても違いはありません。