(※写真はイメージです/PIXTA)

夏が終わり秋になり、過ごしやすくなるとともに日が短くなりだす頃。なんとなく鬱々として気分が晴れない、落ち込むような感覚になるということがあります。これは決して気のせいなどではなく、季節性感情障害(SAD)という病気からくる症状の可能性があります。症状がごく軽い場合は生活習慣の改善などで症状の改善や軽減が図れる場合があります。

良い睡眠のための生活習慣はお風呂

夏はお湯を張るのも面倒だし、暑いため入浴はついついシャワーで済ましてしまっていた…という方もいるでしょう。涼しくなる秋口に良い睡眠確保への足がかりとしてお風呂を活用してみるのはいかがでしょうか。私が以前行った調査研究では、毎日浴槽入浴する習慣が良い睡眠に関連していました。

 

入浴するといっても、なんとなく入ればいいと言うわけではありません。効果的な入浴方法があります。研究から、お風呂の温度が1℃違うだけで体に及ぼす影響は大きく変わることがわかってきました。そのため、シーンに併せてお風呂の温度や入浴時間を変える必要があります。睡眠の質を改善するお風呂の入り方は、40℃のお湯に10分間、肩まで浸かる全身浴です。

 

温度はもっと熱い湯が好きな方もいるかもしれません。しかし、42℃以上の湯での入浴は自律神経のうちの交感神経のスイッチが入ってしまいます。交感神経は昼間の活動時に働く神経ですので、体が興奮して目がさえてきます。一方で40℃以下の少しぬるめの湯での入浴はリラックスの神経である副交感神経が働きます。そのため、就寝前にはこの温度をお勧めしています。

 

睡眠を意識する場合、入浴するタイミングも要注意です。就寝時刻の90分前を目安に入りましょう。お風呂に浸かることで体温が一度上昇しますが、ヒトは約90分後に再び体温が下がるときに眠気を感じ、就寝すると良い睡眠が取れます。このタイミングで就寝できるように入浴のタイミングを逆算しておきます。一旦体温を上げてストンと下がったタイミングで眠くなる、という仕組みを利用して、睡眠の質を改善してみましょう。(加療中の方は入浴法について主治医へご確認ください)

 

逆によるある間違いとして、「寝る直前にお風呂で体を温める」ということです。冬に温泉を訪れると、せっかくだから寝る前にもうひと風呂、と入浴してしまうことがありますが、特に温泉は体温を上げる作用が強く、一旦体温が上がると体がほてって2時間くらい眠れないことがありますので要注意です。

お風呂のお供に麦茶はいかが?

入浴前後の水分補給として、お水やスポーツドリンクを飲まれている方もいらっしゃるかと思いますが、睡眠を意識した入浴の場合、私は麦茶をおすすめしています。その理由の1つ目は、ミネラル補給の効率の良さです。麦茶にはナトリウムやカリウムなどのミネラル分が含まれており、入浴中の汗で失われるミネラル分の補給にぴったりです。

 

特に睡眠前の入浴時におすすめの理由の2つ目は、麦茶の持つリラックス効果です。麦茶特有のあの香ばしい香りの正体は「アルキルピラジン」という成分で、リラックス効果があることが研究からわかっています。さらにアルキルピラジンには血液をサラサラにして血流を良くするはたらきもあります。ノンカフェインなので睡眠を邪魔しません。

 

他にも、麦茶に含まれるGABAという成分は高血圧や高脂質血症、動脈硬化などに予防があることがわかっています。夏の冷えた麦茶ばかりでなく、秋冬はホット麦茶もおいしいです。このように最適な飲み物の麦茶を、入浴前後にコップ1杯ずつお風呂のお供に取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

忙しい中、普段の生活習慣を大きく変えるのはとても大変ですが、お風呂のように日常の身近なところから、SAD予防を行ってみませんか?

 

早坂 信哉
東京都市大学人間科学部学部長・教授
博士(医学)、温泉療法専門医。
 

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。