(※写真はイメージです/PIXTA)

色が黒く、一見ほくろに見えてしまう皮膚がんがあります。いわゆる「ほくろのがん」のことです。皮膚の悪性腫瘍の中でも特に悪性度が高く、進行すると内蔵転移を生じて手遅れになってしまうことがあります。どのように注意したらいいのでしょうか。専門医が分かりやすく解説します。

ほくろみたいに見える皮膚がんに要注意

「ほくろのがん」、聞いたことがある方も多いかもしれません。実は、ほくろががんになるということではなく、「ほくろみたいに見えるがん」、「ほくろだと思っていたら実は皮膚がんだった」、というのが正しい表現になります。

 

ホクロだと思って切除したら病理検査でがんだとわかったのなら、すぐに必要な治療に進めますが、レーザー治療したらあとになって他の場所に転移して初めてわかった、という事態も起こりうるのが「ほくろのがん」なのです。

 

もう一度「ほくろ」という表現を解説しておきます。「ほくろ」というのはいわゆる「俗称」です。ニキビ、みずむし、とびひ、イボ、タコなど、皮膚の病気には親しまれている呼び名(俗称)がたくさんあります。本当の病名は難しいものが多いのです。

 

本当の「ほくろ」の正式な病名は「色素性母斑」といいます。しかし、「ほくろ」だと思っていても、実際には違う種類のできもの、ということもあるのです。多くは良性腫瘍ですが、中には皮膚がんの中でも一番こわい、悪性黒色腫(マリグナント・メラノーマ 通称メラノーマ)というものも混じっていることがあるのです。

 

なぜこわいかというと、他のがんに比べて小さくても進行してしまうことがあり、気づいたときには進行していて、命にかかわることがあるからです。

悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚がん

メラノーマは他のがんと同じように50歳以上の方に多くみられますが、若い方でもできることがあります。男女差はありません。

 

メラノーマは皮膚の表皮にある「メラノサイト」という細胞が悪性化して発生します。この悪性化したがん細胞が表皮の中にあるうちはまだ早期ですが、真皮に落ちてしまうと進行が速いのです。がん細胞が進んだ深さが予後に重要で、1mm単位の違いで進行度や予後が違ってくるのです。

 

 

メラノーマには4つのタイプがあります。

 

・末端黒子型:足のうらに多いタイプです。「足のうらのほくろは危ないんですよね」と言って病院にいらっしゃる方も多いです。


・悪性黒子型:高齢の方の顔面に多いタイプです。若い頃たくさん日光にあたった影響があるとされています。


・表在拡大型:平らに広がっていくタイプで体幹に多く生じます。


・結節型:表面に飛び出した結節で、身体のどこにでもできます。

 

爪や粘膜にもできることがあります。

 

黒いまだらなシミ、ある程度大きいと疑いますが、小さいものではほくろのようにしかみえないこともあります。

 

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。