ほくろみたいに見える皮膚がんに要注意
「ほくろのがん」、聞いたことがある方も多いかもしれません。実は、ほくろががんになるということではなく、「ほくろみたいに見えるがん」、「ほくろだと思っていたら実は皮膚がんだった」、というのが正しい表現になります。
ホクロだと思って切除したら病理検査でがんだとわかったのなら、すぐに必要な治療に進めますが、レーザー治療したらあとになって他の場所に転移して初めてわかった、という事態も起こりうるのが「ほくろのがん」なのです。
もう一度「ほくろ」という表現を解説しておきます。「ほくろ」というのはいわゆる「俗称」です。ニキビ、みずむし、とびひ、イボ、タコなど、皮膚の病気には親しまれている呼び名(俗称)がたくさんあります。本当の病名は難しいものが多いのです。
本当の「ほくろ」の正式な病名は「色素性母斑」といいます。しかし、「ほくろ」だと思っていても、実際には違う種類のできもの、ということもあるのです。多くは良性腫瘍ですが、中には皮膚がんの中でも一番こわい、悪性黒色腫(マリグナント・メラノーマ 通称メラノーマ)というものも混じっていることがあるのです。
なぜこわいかというと、他のがんに比べて小さくても進行してしまうことがあり、気づいたときには進行していて、命にかかわることがあるからです。
悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚がん
メラノーマは他のがんと同じように50歳以上の方に多くみられますが、若い方でもできることがあります。男女差はありません。
メラノーマは皮膚の表皮にある「メラノサイト」という細胞が悪性化して発生します。この悪性化したがん細胞が表皮の中にあるうちはまだ早期ですが、真皮に落ちてしまうと進行が速いのです。がん細胞が進んだ深さが予後に重要で、1mm単位の違いで進行度や予後が違ってくるのです。
メラノーマには4つのタイプがあります。
・末端黒子型:足のうらに多いタイプです。「足のうらのほくろは危ないんですよね」と言って病院にいらっしゃる方も多いです。
・悪性黒子型:高齢の方の顔面に多いタイプです。若い頃たくさん日光にあたった影響があるとされています。
・表在拡大型:平らに広がっていくタイプで体幹に多く生じます。
・結節型:表面に飛び出した結節で、身体のどこにでもできます。
爪や粘膜にもできることがあります。
黒いまだらなシミ、ある程度大きいと疑いますが、小さいものではほくろのようにしかみえないこともあります。
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