一方、運動に否定的な論文も…運動のやりすぎも毒?
ここまでは、運動が健康に効果的であるという結果を示した、代表的な論文を紹介しました。しかし、「運動しすぎはよくない」と書かれた論文も存在するのです。
長時間の激しい運動は心房細動や徐脈性不整脈のリスクに
2009年、医学雑誌「Europace」に掲載された論文では、合計655人のアスリートと895人のまったく運動をしない人たちを比較したところ、アスリートにおける心房細動の症例は、まったく運動をしない人たちに比べて5倍多いことが明らかになっています。ちなみに対象者の平均年齢は51±9歳、93%が男性です※。
※ Europace. 2009 Sep;11(9):1156-9
また、医学雑誌「European Heart Journal」に2013年掲載された論文も、興味深い結論を導いています。
1989~98年にVasaloppet(90kmのクロスカントリースキー大会)を完走した、心血管疾患のない参加者全員を追跡調査したところ、52,755人の参加者のうち919人がフォローアップ期間中に不整脈を経験しました。
そして、期間中に最も多くのレースを完走した人は、そうでない人と比較して、あらゆるタイプの不整脈を発症する確率が1.3倍、心房細動も1.3倍、徐脈性不整脈は2.1倍高くなっていることがわかりました。
また、完走時間の速さや完走回数の多さも、不整脈のリスクの高さと関連していました。
適度な運動は身体にいいとされているものの、マラソンやクロスカントリーなど、長時間かけて行う競技の場合、心房細動や徐脈性不整脈の発症原因になることが明らかになっています※。
※ Eur Heart J. 2013 Dec;34(47):3624-31.
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