(※写真はイメージです/PIXTA)

健康を維持するために、運動はとても大切なもの。とはいえ、「運動のしすぎ」は「しなさすぎ」と同じくらい身体にダメージを与えてしまうと、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長はいいます。では、健康維持に最適な運動量はどのくらいなのでしょうか。さまざまなデータを読み解きながら、桑原院長がおすすめする「本当に体にいい運動」をみていきましょう。

専門医が提言する「本当に身体にいい運動」

健康維持のために運動しているつもりが、かえって健康を害してしまっては本末転倒です。多くの論文からエビデンスに基づき、結論を導いてみます。

 

「週6回の早歩きまたは軽いジョギングを20分間」が最適

どれくらいが適度な運動といえるのかというと、ある論文がひとつの“上限”を示しています。2014年、「Heart」に掲載された論文です。

 

45~79歳(平均年齢60歳)の心房細動のない男性44,410人に対し、15歳、30歳、50歳、およびベースライン時(調査時)を通して、余暇の運動と歩行または自転車に費やした時間を調査しました。

 

12年の追跡期間中に、4,568例の心房細動が診断されました。そして、30歳のときに週5時間以上運動をしていた男性では、週1時間未満と比較して、心房細動の発症リスクが1.19倍であることがわかりました。

 

また、30歳のときに週5時間以上の運動をしていて、人生の後半に運動をやめた男性(ベースライン時に週1時間未満)ではさらに高く、1.49倍になりました。

 

この論文では、若年時の余暇運動は心房細動のリスク上昇と関連するということが明らかになっており、ひとつの目安として1週間に5時間以上の運動はしないほうがいいのではないか、という提言がうかがえます
※ Heart. 2014 Jul;100(13):1037-42.

 

それでは、不整脈予防という観点からすると、どの程度の運動が “最適”なのでしょうか。

 

厚生労働省やWHOなども、目指すべき運動のレベルについては一定の提言をしています。しかし実際、これらにエビデンスはあまりありません。そこで私は20本以上の論文を読み、ひとつの結論に達しました。それが、こちらです。

 

【理想的な運動】
1週間に2時間、6〜10代謝等価作業(METs)……1日に20分、週6回、1回あたり6〜10METs(=6〜10km/hの早歩き、もしくは軽いジョギング。少なくとも5メッツをめざす)

 

多くの論文を総合的に検討した結果、筆者は上に記載した運動量が心臓に負担をかけず、将来的に冠動脈疾患を引き起こすリスクも少なく、また、体にとってもいい効果をもたらす最適な運動量だと考えます。

 

毎日20分であれば、それほど大きな負担ではないのではないでしょうか。また、早歩き、あるいは軽いジョギング程度であれば、運動が苦手な人でも取り組みやすいはずです。

 

健康を維持するために、過度にがんばりすぎる必要はありません。これくらいでちょうどいいのです。

 

アプリの力を借りたトレーニングもおすすめ

最後にもうひとつおすすめしたいのが、自分の運動履歴を記録することです。近ごろはさまざまなアプリがあり、ジョギング時の走行距離や速度、時間などを自動で記録してくれます。

 

体組成計で体重や体脂肪、筋肉量などを測定するのもおすすめです。筋力トレーニングを行えば筋肉量の変化がわかり、モチベーションにも繋がります。あらゆるデバイスを駆使し、記録を残しながら科学的かつエビデンスに基づいた運動をして健康につなげていくのが、現代的なスタイルではないでしょうか。

 

運動のしすぎも、しなさすぎも健康を害する原因になり得ます。もちろん、既往歴や体質、年齢などによってその人に最適な運動強度は異なりますが、決してハードな運動だけが身体にいいわけではありません。効率的に健康管理を行ってみてはいかがでしょうか。

 

 

桑原 大志

東京ハートリズムクリニック

院長

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。