(※写真はイメージです/PIXTA)

年齢にかかわらず、突然思ってもみなかったことが起きるのが人生です。しかし、家計破産の危機は、急に起きるのではなく必ず“予兆”があると、牧野FP事務所の牧野寿和氏はいいます。60歳になり、予定通り入った退職金で人生の後半戦を満喫しよう……と思っていたエリート会社員が陥った「老後破産の危機」についてみていきます。

老後破産回避のコツは「支出減」と「住み替え」

そこで、家計が破産しない対策を提案しました。

 

家計を改善するための手段のキホンは、

 

1.収入を増やす
2.支出を減らす
3.貯蓄を取り崩す
4.資産を売却する

 

の4つです。

 

これらを組み合わせて、筆者はYさんのために2つの提案をしました。

 

まず1つめの提案は、「2.支出を減らす」+「3.貯蓄を取り崩す」方法です。

 

毎月の家計支出を、今月から毎月5,000円ずつ減らします。貯蓄も取崩しながら1年間で6万円、10年間で60万円、20年間で120万円減らすことで、住宅ローンは61歳で退職後も70歳までに滞りなく返済できます[後掲図表5参照]。また、残債の1,200万円全額完済も可能です。どちらにしても100歳まで貯蓄は底をつきません。

 

ただし、いま完済してしまえば約100万円の利息負担が軽減できますが、約1,200万の現金がYさんの手元から無くなってしまうことになります。ここは万が一を考え、慎重な行動が求められます。

 

[図表5]毎月の家計支出の改善案

 

もうひとつは、「4.資産を売却」+「3.貯蓄を取り崩す」方法です。

 

具体的にいうと、資産である自宅を売却し、住み替えるという方法です(ただし実行の際には、事前に住宅ローン担当者にその旨を相談するのが必須です)。

 

現在Yさんの土地は2,500万円くらいで売却でき[前掲図表1参照]、住宅ローンの残債は約1,200万円ですから、住宅ローンも完済できます。

 

余談ですが、一般的に建物は解体して土地のみで売却したほうが、価格は高額になります。

 

また、自宅を売却すると、住宅ローンの返済利息を含め約1,300万円の負担がなくなります[前掲図表2参照]。自宅売却益や貯蓄残高、65歳からの年金収入を考慮して、住宅を購入するのか、生涯賃貸に住むか、決めていくといいでしょう。

 

Yさんに限らず、退職を機に人生の後半戦をスタートさせたところ思い通りにならず、相談にみえる方は少なくありません。取り返しがつかなくなる前に、善後策を検討し実行していただきたいものです。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員
 

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