積極的な支援が展開されるも、正規社員・職員のハードルは高く
「これは大変だ!」と氷河期世代の支援を大々的に行うようになったのは、つい最近のこと。政府は2019年6月に「就職氷河期世代支援プログラム」を策定し、この世代の正規雇用者30万人増を目標に掲げ、3年間集中で各種施策を積極的に展開してきました。
対象となっているのは、「正規雇用を希望していながら非正規雇用で働く者」「就業を希望しているが様々な事情により求職活動をしていない長期無業者(無職)」。そういった人たちを対象とした採用活動がたびたび話題になっています。しかしそのニュースに当事者からは「やっぱり、自分たちは報われない……」といった諦めの声が聞こえてきます。
就職氷河期を対象とした埼玉県職員採用試験で、県は一般事務(採用予定者5人程度)に対し280人が、司書(採用予定者5人程度)に対し185人が申し込んだと発表。倍率はそれぞれ56倍と37倍と高い水準となった。
就職氷河期を対象とした千葉県職員採用試験は、今回が3回目。2020年度試験では427人中14人が合格し、倍率は30.5倍。2021年度は346人中18人が合格し、倍率は19.2倍だった。
つい最近、話題になったニュース。地方自治体は国の方針に則り、積極的に氷河期世代の採用を進めています。ただ、やはり採用倍率は高く、正規職員になるのは相当難しいと言わざるを得ません。これら公務員に限ったものですが、それは民間企業も同様。どんなに国が「氷河期世代を正社員に!」といったところで、企業もボランティアではありませんから、キャリアのない人を採用するにはそれ相応のメリットがないと難しいでしょう。
一度も正社員になったことがなく、不本意ながら非正規社員を続けてきた氷河期世代。彼らが正社員になる道は、いわゆるブラック企業といわれる企業を目指すほかない、という声も。仮にそこで正社員になったところで、続けるのは相当困難です。氷河期世代への積極的な支援。やはり「遅すぎた……」というのが実情。それでも「支援」と言い続けるのか、それともフェードアウトしていくのか。ちょうど分岐点に差しかかっています。