就職したくてもそのハードルが高かった、就職氷河期世代。彼らへの積極的な支援が展開され、30万人の正規雇用を目指しています。しかし、正社員・正職員への道は今なおハードルが高いといいます。みていきましょう。
非正規・氷河期世代「やっぱり、僕らは報われない…」積極的な支援も、諦めるしかない苛酷 (※写真はイメージです/PIXTA)

不本意に非正規社員でいる「50万人の氷河期世代」

バブル崩壊後で就職難となった1993年~2004年に大学や高校を卒業した人たち。いわゆる氷河期世代は、2022年、高卒であれば37~48歳に、大卒であれば41~52歳になります。だいたい、いまの40代は基本的に就職難のなか社会に出て、「自分たちの頃は酷かった……」が口癖になっている人たちだと思っていいでしょう。

 

これらの世代は、「就職を希望するも採用がない」「高い倍率で正社員になれない」などといった人が続出。正社員になれても不本意な職であったり、不本意ながら非正規社員として社会人人生をスタートさせたりしました。そのあとのキャリアは人それぞれ。もちろんエリート街道を突き進んだ人もいれば、途中で脱落した人もいます。それはどの世代でも同じことで、特別なことではありません。ただこの世代の特徴として、不本意ながら非正規社員を選び、いまなお、正規社員になれずにいる人たちが多いということ。這い上がるチャンスが他の世代に比べて恵まれなかった世代なのです。

 

特に就職氷河期の初期の世代は厳しいものがあります。雇用環境が改善するまでの我慢と考えていたら、就職難の時代は10年続き、気づけば30代に突入。そのときにはキャリアらしいキャリアを築けず、例えるならば、新卒や第二新卒と同様のレベル。同水準の20代新卒と30代既卒、企業側はどちらを選ぶかといえば、もちろん20代新卒となるわけで、氷河期世代は引き続き、非正規社員を続けるしかなく、2022年に至ってしまった……というわけです。

 

そろそろキャリアも残り10年ほど。それでいて、いまなお不本意ながら非正規社員として働く氷河期世代は50万人いるといいます。

 

「定年までわずかなのだから、支援などもういいのでは」という声も聞こえてきますが、日本が抱える諸問題は、取り残された氷河期世代が元凶と言われていますから、ほっとくわけにはいかない、という事情があります。

 

たとえば少子化。低所得でとても結婚など考えられなかった非正規の氷河期世代。もし正規社員となり所得が増えていたなら……結婚し、子どもに恵まれていたかもしれません。

 

介護問題もそうです。氷河期初期の世代は、団塊ジュニアと呼ばれる世代でもあり、その親は団塊の世代。現在、後期高齢者となり、今後、介護が必要になってくる世代です。これらの世代は日本の人口のボリュームゾーン。それだけ介護が必要となる人が増えるわけですが、介護を必要とする団塊の世代と、介護をする非正規雇用の氷河期世代の組み合わせ、「8050問題」といわれていますが、この先「9060問題」となり、老々介護問題が深刻化するといわれています。

 

そして非正規雇用の氷河期世代がリタイアした先には、貧困に窮する高齢者といった姿が現実のものとなります。ただでさえ高齢化の進行で社会保障費が日本に重くのしかかるといわれていますが、貧困の高齢者が増えると、さらにその負担は重くなるというわけです。

 

これまで手を差し伸べてこなかったつけが、この先、全国民に降りかかろうとしています。