(※写真はイメージです/PIXTA)

資産形成を目的に株式投資を行う人たちが増えています。しかし、なかにはハイリターンを狙ってハイリスクな商品に手を出し、大やけどするケースもあるため、慎重さが不可欠なのです。とくに高齢になってから「一発逆転」を狙うのは非常に危険だといえます。高齢者が老後の資金を得るため、もっといい方法はないのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「投資による資産形成」は、あまりにリスクが大きく…

「老後資金が足りないなら、投資で増やせばよい」という話をする人は少なくありません。投資商品を売っている人がそうした話をするのは自然なことですが、そうでない人のなかにも、投資で増やそうと考えている人がいるようです。

 

もっとも、投資で儲けようとガツガツすると、リスクを覚悟する必要がありますから、損をして「ただでさえ足りない老後資金が一層不足して悲惨な老後になってしまう」という可能性が出てきます。

 

そうしたリスクを避けるためには、「働いて稼ぐこと」「生活を見直すこと」によって老後資金を確保するほうが安全です。そこで本稿は「働いて稼ぐ」ことについて考えてみたいと思います。生活の見直しについては、別の機会に。

 

ちなみに筆者は老後資金の一部を株式に配分することを勧めていますが、それはインフレが来たときに預金が目減りしてしまうリスクに対する「守りの株式保有」であって、儲けようという「攻めの投資」ではありません。

老後資金が心配なら、高齢になっても働こう

まず、老後資金を心配するなら、老後も働きましょう。自営業者は元気な間は現役として働いて稼げるので、寿命が伸びた分だけ長く働けば「老後資金の観点からみた老後の長さ」を短くすることができるでしょう。

 

サラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)は、定年後に働くと定年前より遥かに収入が落ちる場合が多いでしょうが、それでもある程度は稼げるはずです。以前は高齢者が仕事を探しても見つかりにくかったのですが、最近は少子高齢化による労働力不足の時代ですから「1日4時間しか働けない高齢者」でも仕事が見つかる可能性が高いでしょう。

 

現役時代より収入が減っても、予定されていなかった収入が少しでも得られたなら、それによって老後のささやかな贅沢が可能となるでしょうし、老後資金のリスクに対する備えにもなるでしょう。

 

そもそも現役時代と同じ収入を稼ぐ必要はないのであって、税金も、年金も、子育て費用も、住宅ローンの返済もなければ「実質的な手取り」はそれほど変わらないかもしれませんし、年金の収入を加えれば、結構な収入になるかもしれません。

 

定年後再雇用をしてもらえるなら簡単ですが、昔の部下にお仕えするなど、いいことばかりではありません。最近は副業を認める会社も増えつつあるので、出世競争が一段落したら(残念ながら出世コースから外れたら)、副業をしながら老後の仕事を探す、という選択肢も要検討でしょう。

 

もっとも、起業する場合には「退職金を全額使って会社を立ち上げる」といった危険なことは避けたいですね。失敗したときに悲惨な老後にならないように、なるべく「金のかからない起業」を目指す方が安心ですね。

 

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