まもなくやってくる「2025年問題」
「2025年問題」をご存知だろうか。
2025年問題とは、いわゆる「団塊の世代」(1947~49年に生まれ、戦後の第1次ベビーブームに生まれた世代)の全員が75歳以上となる2025年以降に発生が予想される、さまざまな問題を指す言葉だ。
2025年には2,180万人と、全人口の4人に1人が後期高齢者という「超高齢社会」になるとされている。
一方、「団塊ジュニア」は1971年~1974年生まれ(現在47歳~51歳)の人達を指す。ジュニアという言葉のとおり「団塊の世代」の子供たちにあたり、2025年にはみな50歳を超える。この世代が、親の介護のために離職せざるを得ない状況がやってくるのだ。
「介護離職」で生活が破綻…3,000万円の貯蓄がゼロに
都内在住のAさんは、「介護離職」によって自身の生活が破綻してしまった1人だ。
父親が78歳のときに脳梗塞で倒れ要介護状態になったのをきっかけに、Aさんは当時勤めていた会社を退職した。介護するうえで後悔したくないという思いから仕事を辞めることにしたという。当時勤務していた会社での年収は800万円ほどで、介護を始めたとき貯蓄は3,000万円ほどあった。
そのため、Aさんは「仕事を辞めてもしばらくはやっていけるだろうし、またすぐに再就職できるだろう」と考えていた。ただ、当時は介護についての知識はなにもなく、公的サービスの存在すら知らなかった。
その後父親が他界すると、今度は母親の認知症が進んだ。遠方に住む兄がいたが頼れる状況にはなく、独身のAさんが1人でそのまま介護することになった。
母の貯金はほぼなく、年金もわずかだったため、介護にかかる費用のほとんどをAさんが払い続けた。
介護生活が8年を超えたころ、周囲の助言もあり、ようやく母親を施設に入れることにした。しかし、その申請をしているさなか母は亡くなった。生命保険もかけていなかったため、葬式代の100万円を支払うと、Aさんの貯金は底をついた。
現在Aさんは再就職できたものの、以前の年収とは程遠い300万円台の年収で生活している。
「仕事は辞めないほうがよかったと思います。介護について事前にもっと調べておけば、仕事を辞めることはなかったかもしれない」と後悔している。