日本は3年後、全人口の4人に1人が後期高齢者の「超高齢社会」となります。これは1947〜49年生まれのいわゆる「団塊の世代」が全員75歳を迎えるためです。そして、この子供である「団塊ジュニア世代」について、FP Officeの清水豊氏は、過酷な現実に立ち向かうため知っておくべきことがあるといいます。両親の介護により順風満帆な生活から一転、老後破産の危機に直面したある会社員の事例を交えてみていきましょう。
脳梗塞の父、認知症の母…介護離職で「年収800万円」と「貯蓄3,000万円」を失った息子の慟哭 (※写真はイメージです/PIXTA)

介護離職しないために…「介護休暇」など制度の積極的利用を

このように、「介護離職」によるリスクは多岐にわたる。このため、会社員が介護のために仕事を休まなければならない場合は、介護休業法による支援制度を活用するといいだろう。

 

「介護休暇」は、病気やケガ、高齢などの理由で要介護状態になった家族を介護する従業員に対して与えられる制度で、介護をともなう休暇の申し出には有給休暇ではなくこの介護休暇で対応する。

 

要介護状態の家族1人につき、年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで休暇を取得することができる。

 

申請する際には書面にする必要はなく、会社側に口頭で伝えるだけでいいとされており、介護や通院の付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの打ち合わせ等の時間に充てることが可能だ。

 

長期間の休みを必要とする場合には、「介護休業制度」の利用をおすすめする。要介護状態の家族1人あたり通算「93日」、3回まで分割または連続取得が可能となっており、休業開始予定日の2週間前までにこちらは「書面」で申し込む。

 

介護休業制度を利用した場合は、「介護休業給付金」の申請を行うと(雇用保険の被保険者で勤務期間などの一定の条件を満たしていれば)賃金の約7割が休業した日数分だけ支給される。

 

介護サービスを有効に利用

上記の介護休業制度は、休業期間中に介護と仕事を両立できる体制を整える期間でもあるため、職場復帰までに仕事を継続できる環境を整える必要がある。しかし、次の専門家等に相談することで、それが可能となる。

 

介護サービスを利用することで精神的にも体力的にも余裕が生まれ、仕事をする意欲を保つことができるのだ。

 

■役所や地域包括支援センターに相談

介護申請や介護保険サービスについての説明、独居高齢者の見守りなど、心配事に対する解決方法を提示してくれる。特に「地域包括支援センター」は地域の介護相談窓口として設置されており、ケアマネジャー・看護師・社会福祉士と専門職が常駐しさまざまなケースを扱っている。

 

■ケアマネジャーに相談

介護保険サービスを利用する場合は「要介護認定」の申請を行い、その後担当のケアマネジャーがつくことになる。ケアマネジャーは介護のプロなので質問者様の就業状況や悩みを伝え、仕事との両立が可能なケアプランを作ってもらうことができる。

 

■老人ホーム・介護施設を検討する

老人ホームや介護施設に入居できれば、仕事との両立は現実的なものになる。

 

介護度が重くなり在宅介護の限界を感じたときは、老人ホームへの入居を検討してみてもいいだろう。特に「要介護3」以上であれば、特別養護老人ホームの申し込みをしておくことをおすすめする。