日本は3年後、全人口の4人に1人が後期高齢者の「超高齢社会」となります。これは1947〜49年生まれのいわゆる「団塊の世代」が全員75歳を迎えるためです。そして、この子供である「団塊ジュニア世代」について、FP Officeの清水豊氏は、過酷な現実に立ち向かうため知っておくべきことがあるといいます。両親の介護により順風満帆な生活から一転、老後破産の危機に直面したある会社員の事例を交えてみていきましょう。
脳梗塞の父、認知症の母…介護離職で「年収800万円」と「貯蓄3,000万円」を失った息子の慟哭 (※写真はイメージです/PIXTA)

将来の介護のために…いまからできる費用のプランニング

収支計画をたてる

あくまでも、親の介護は親の収入や資産で賄うことが基本だ。

 

まずは親の年金や預貯金などから、毎月必要な介護費用をいくら支出できるか試算してみることをおすすめする。介護は相当長期になることが予想されるため、途中で疲弊しないように無理がない収支計画をたてておくことが重要である。

 

費用負担を減らせる制度を利用する

・「高額介護サービス費」

介護で自己負担が高額になった場合は、個人や世帯の所得によって決められている月々の負担限度額を超えた分が介護保険から支給される。

 

ただし、対象となるサービスは特別養護老人ホーム等への入所に伴う施設サービスや居宅サービス等で、ショートステイでの食費や滞在費、介護施設での居住費や食費、特定福祉用具の購入費や住宅改修費などは対象外となる。

 

・「高額医療・高額介護合算制度」

高額医療・高額介護合算制度とは、1年間の医療保険や介護保険の自己負担額の合計が一定の基準を超えた際、超えた部分を支給してもらえる制度である。

 

医療保険の世帯ごとに、毎年7月31日を基準日として1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合計して計算される。

 

ただし、同じ世帯であっても加入している医療保険が異なれば合算の対象にならない。一方、後期高齢者医療制度は同じ住民票のなかの被保険者同士を世帯とみなして合算することができる。

 

・「特定入所者介護サービス費(補足給付)」

介護保険施設に入所した場合の食費や居住費は原則的には全額自己負担だが、所得等に応じて自己負担限度額が定められている。そのため、「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けることで、負担限度額を超えた分は介護保険から給付される。

 

負担限度額は所得や資産状況、施設や部屋のタイプ等に応じて異なる。

 

まとめ…「介護離職」は絶対に避けるべき

介護離職をしてしまうと、親だけではなく自分自身の老後まで苦しめてしまうことになりかねない。そのため、積極的に介護サービスを使うとともに介護サービスにかかる費用を軽減することで、介護離職は絶対に避けるようにすべきだ。

 

また、早い段階で親の資産を確認し、要望を聞きながらきちんとプランニングしていくことで、仕事と介護を両立する体制を構築することができる。

 

もしご自身にあった方法がわからない場合は、介護制度にくわしいファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめする。

 

 

清水 豊

FP Office

ファイナンシャルプランナー