若者の日本離れ…ワーキングホリデーの現状
“失われた30年”がもたらしたものとして、若者による日本離れが挙げられます。
この30年、日本人の労働賃金は増加することはなく、逆に海外における賃金水準は、国によっては2倍から3倍に増えています。
このような時代的背景もあり、海外季節労働者就労に活路を見いだそうと考える若者が激増したのです。
また、ここ数年の為替レートも追い風となりました。たとえば、2019年1月15日の豪ドル円の為替相場は1豪ドル78.62円でしたが、2024年12月は1豪ドル99.39円まで円安・豪ドル高が進んでいます。
ここ数年の円安傾向は、ワーホリを利用した海外出稼ぎ就労者の所得をさらに押し上げる要因となり、ワーホリ利用の海外就労を希望する若者が増加したのです。
ワーホリのリスクとは
若者に人気のワーホリですが、ワーキングホリデー協会によると、2024年10月現在、協定国は31にまで増え、約2万5千人もの日本の若者が海外に渡っています。
しかし、海外出稼ぎ就労を動機としたワーホリ利用は決していい面ばかりとはいえません。「こんなはずではなかった……」「日本に帰りたい……」と後悔しかねない、その裏側に潜むリスクも存在します。
そのリスクの代表例が、出国時と帰国時の二国間の為替相場の変動です。
2022年12月の豪ドルは、1豪ドル115円を超えていました。最大3年間滞在できる豪州のワーホリビザですが、その人たちも帰国することになります。ところが、足元の為替相場は1豪ドル約100円です(2024年11月28日現在)。
2022年当時の感覚ですと、手元にあった現金115万円の価値が、帰国時には100万円と対等であることを意味しています。つまり二国間の為替変動によって、3年間で15万円も損をしたことがわかります。
このように、出国時と帰国時の為替相場次第で、両替時のお金の価値が大きく下落または上昇する可能性があることを認識しておかなくてはなりません。
また、同時に為替差損を回避するための知識も持ち合わせる必要があるでしょう。海外で働くということは、煩わしさにも勝たなくてはならないのです。