日本は3年後、全人口の4人に1人が後期高齢者の「超高齢社会」となります。これは1947〜49年生まれのいわゆる「団塊の世代」が全員75歳を迎えるためです。そして、この子供である「団塊ジュニア世代」について、FP Officeの清水豊氏は、過酷な現実に立ち向かうため知っておくべきことがあるといいます。両親の介護により順風満帆な生活から一転、老後破産の危機に直面したある会社員の事例を交えてみていきましょう。
脳梗塞の父、認知症の母…介護離職で「年収800万円」と「貯蓄3,000万円」を失った息子の慟哭 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護は平均4~10年…自己負担額は「500万円以上」

統計からみる介護費用と介護期間

公益財団法人生命保険文化センターが行った調査によると、介護に要する費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造(手すりの取り付けなど)や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の平均が「74万円」、介護が始まってから毎月必要な施設利用料などが平均で「83,000円」となっている。

 

[図表3]一般的な費用の合計

 

[図表4]月々の費用

 

一方で、介護に要する期間については、4年~10年の例が31.5%と最も多く、平均で5年1ヵ月(61.1ヵ月)となっている

 

[図表5]介護に要する期間


※ 出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」R3年度

期間の平均値を例として、トータルで生じる介護費用を計算してみると、74万円+83,000円×61.1月=581万1,300円となり、介護保険利用により自己負担が一部であっても、かなり大きな額の負担になることがわかる。

 

「介護保険制度」を利用すれば負担額が1~3割に

要支援または要介護の認定を受け、介護保険サービスを利用した場合の利用者負担割合は、本人の所得等に応じて介護サービスにかかった費用の1~3割となる。

 

ただし、介護保険施設を利用する場合には利用者負担のほかに居住費、食費、日常生活費の負担も必要になるので注意が必要だ。

 

また、居宅サービスを利用する場合は利用できるサービスの支給限度額が要介護度別に定められている(図表6参照)。

 

[図表6]居宅サービスの支給限度額(1ヵ月あたり)

 

この支給限度額は単位で計算され、1単位10円を基本として地域やサービスの種類によって設定されており、この限度額を超えて利用したサービスは全額自己負担となる。