(※写真はイメージです/PIXTA)

2012年の開始以来、急激に増加する「放課後等デイサービス」。発達障がいをはじめ、日常や学校生活にサポートを必要とする子どものための福祉サービスです。さまざまな理由から利用者が増えている一方、それに甘んじて利益を求め、ずさんな経営をする事業者もいると、高座渋谷つばさクリニック院長の武井智昭先生はいいます。今回は、そんな「放課後等デイサービス」の実態と現状についてみていきましょう。

「障がい者ビジネス」に目をつける“素人事業者”

こうしたなか、本来は主として担当すべきNPO法人や社会福祉法人の割合には変化がありません。

 

対照的に、収益事業を目的とした多くの株式会社が新規参入しているのです。

 

ここ数年は、企業がフランチャイズとしてオーナーを募集しており、そのキャッチフレーズは「儲かる国策、とりっぱぐれがなく安定収益。立派な社会事業。なにもしなくても月30万円の副収入」。障がいに関する知識がなくても“楽して稼げる”と、副業ブームを後押しする広告まで存在していました。

 

さて、この放課後等デイサービスの運用ですが、学校がある日は14時~17時・18時までと3時間以上の営業、平日の祝日や学校が休暇の場合は1日単位での営業(6時間程度)を行っています。

 

報酬体系は、1単位10円で介護保険と同じ「基本単位制」です。基本単位に加えて、有資格者がいればその分加算されます。送迎加算などを含めると、地域差はありますが、1日で最低10,000円という、非常に高額な報酬単価です。

 

放課後等デイサービスの定員は、報酬の効率化から1日10名程度で設定されています。また、欠席等の保証もあり、利用児童が体調不良などで欠席、短時間(30分以下)の利用となった場合には、欠席時対応加算として940円が支給されます。

 

定員をある程度オーバーすると基本報酬が3割減額となり経営が成立しないため、1日利用を10~11名にコントロールして実績報告をしているようです。

 

利用者側の負担額は1割であり、また所得によってその上限が定められているため、報酬の9割以上が国からの支給となります。医療と異なり「未収」の発生が極めてまれですがあります。

 

報酬額が11,000円、月に22日稼働し、1日利用が10名とした場合、月間の報酬は11,000×22×10=242万円。支出としては人件費が150万円、家賃が30万円、その他雑費として30万円とすると、32万円程度の収益となります。初期投資も1,000万円程度と低額であることも、参入のしやすさが理解できると思います。

 

診療単価が6,000円の週4.5日(月18日営業)の小児科クリニックに換算すると、1日22人程度の診療に相当します。医療機関の場合初期投資・人件費が高いため、来院患者が少ない小児科を開設するよりもリスクは低く、コストパフォーマンスは良好といえます。

 

こうした理由から、収益の見込みが立たない小児科診療所を廃止し、同じ敷地に放課後等デイサービスを立ち上げた法人もありました。

 

報酬単価が時給制ではなく1日あたりの設定となっているため、収益を上げようと思えば短いサービス提供時間で1名あたり1日約1万円以上という、非常に高額な報酬を得ることができます。

 

そのため、本来の利用者である児童の支援よりも、営利を追求する事業者が後を絶たない悪循環がうまれ、「悪しきビジネスモデル」になりつつありました。

 

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