(※写真はイメージです/PIXTA)

2012年の開始以来、急激に増加する「放課後等デイサービス」。発達障がいをはじめ、日常や学校生活にサポートを必要とする子どものための福祉サービスです。さまざまな理由から利用者が増えている一方、それに甘んじて利益を求め、ずさんな経営をする事業者もいると、高座渋谷つばさクリニック院長の武井智昭先生はいいます。今回は、そんな「放課後等デイサービス」の実態と現状についてみていきましょう。

「不正の悪循環」に行政のメス…児童確保も頭打ちに

こうした情勢に対して、ついにメスが入ることとなりました。2019年、京都府亀岡市内2ヵ所で放課後等デイサービスを運営していた事業者が、有資格者(保育士など)の人数基準を満たさずに給付金を不正請求しているとして、府は不正請求額の返還および、最も重い「指定取り消し」の行政処分を下したのです。

 

これに続き、全国各地での違法な営利追及に対して多くの行政処分が実施されました(しかし、これはまだ氷山の一角にすぎません)。

 

サービスの質の低下を指摘された例もあります。本来であれば個別支援を行うサービスにもかかわらず、一律にアニメDVDを連日見せるなど、サービス内容の不適合性を指摘された悪質な例も処分されています。

 

特に、不動産や学習塾などで福祉・保育などの事業経験のない事業者でこうした傾向がみられました。

 

医療と同様、競合他社が多数生じたために児童確保も頭打ちになり、次第に経営に難色を示す法人も出てきています。静岡県浜松市・京都市では総量規制を実施するなど、歯止めがかかるようになりました。

 

競合が増えると、生き残るために他社に負けない良質のサービスの提供等差別化が不可欠となり、現在のクリニック情勢に類似してきています。

 

一時期ネット上で見かけた福祉の精神に欠ける広告も、近年はまったく見なくなりました。

 

こうした点からは、一時の「発達障がいビジネスブーム」も、いい形で去ったように感じます。唆されて開業した素人は、知識やノウハウがないために利用者確保がうまくいかず、とんだ負債となっているようです。

 

 

武井 智昭

高座渋谷つばさクリニック

院長

 

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