生活に制限が多くなってくる老後。少しでも快適に過ごすため、家族に迷惑をかけたくないから、体が思うように動かなくなってきた……さまざまな理由から「老人ホーム」を検討する人は少なくありません。最近は、さまざまな特徴をもった施設が誕生しているため、比較・検討して選ぶことが重要です。しかし、それでも入居後のトラブルは後を絶たないようで……みていきましょう。
年金14万円の高齢者「死ぬまで搾り取る気か!」…老人ホームの請求額に激昂 (※写真はイメージです/PIXTA)

苦労して入居先を見つけても…後を絶たないお金のトラブル

国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年分)によると、日本の給与所得者数は5,245万人、平均給与は433万円、月換算で36万円程度となります。人にもよりますが、手取りではおよそ27万円となります。年金は「手取り収入のおよそ5割」であるため、13~14万円が給付水準と考えられるでしょう。

 

厚生労働省年金局発表の『令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から年金受給額の状況を見ていくと、公的年金被保険者数は、令和2年度末現在で6,756万人。前年度末と比べ6万人減少しているようです。

 

厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金が14万6,145円、国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、5万6,358円となっている。費用のミスマッチを減らし、年金だけで老人ホームへの入居を考えるなら、このあたりが費用の目安となるでしょうか。

 

では、老人ホームへの入居を検討するにあたり見るべき費用はというと、「一時入居金」と「月額費用」でしょう。まず一時入居金は、終身利用する権利を取得する目的に対し支払うもの。償却期間内に退去した場合は返還金を受け取ることができます。金額は施設によってまちまちで、数十万円、数百万円というところから、0円、という施設まであります。

 

次に月額費用には、「家賃」「管理費」「食費」「介護保険サービスの自己負担分」など「個人で支払う費用」が含まれます。こちらもピンキリですが、10万~30万円程度の施設が多いようです。

 

「年金だけで施設に入居」という場合、元・会社員で厚生年金を受け取っている人であれば、多くの選択肢があります。しかし、国民年金だけという場合は、施設は限られるのが現状です。ただ生活保護を受けながらでも入居できる施設もあるので、可能性がないわけではありません。

 

そのようななか、仮に「予算内で納得のいく施設に入居できた」と思っても、老人ホームのお金にかかわるトラブルは後を絶たないといいます。なかでも利用料金のトラブルでありがちなのは、施設のパンフレットに書いてある月額費用と実際の請求額に差異があるケース。