リモートワーク普及などの影響で、住宅市場が活況です。しかしその一方、周りと足並みを揃えたつもりの「定番条件」で住宅ローンを組んだ結果、住宅ローン破綻予備軍に陥る人が増えていると、FP Officeの髙屋亮氏はいいます。「みんなと同じように」家を買ったはずが住宅ローン破綻に陥る原因と、回避するための対策について、詳しくみていきましょう。
年収800万円、45歳の会社員…「みんなと同じように」家を買って大後悔

“みんなと同じ”は「安心」でも、「安全」とは異なる

この偏った情報への同調で発生した世論は、いつの時代も繰り返される「危機」の可能性をはらむ。30年前に「地価は上がり続ける」と皆が信じて不動産購入を急いだときと性質は同じだ。

 

すでに固定金利のフラット35は2021年8月が1.3%程度に対し、1年後の現在1.5%程度へ微増している。通常は長期金利のあとに短期金利が動く順序のため、「金利が上がったら固定へ」という楽観論が通じない予兆かもしれない。

 

たとえば4,000万円/35年ローン/変動金利0.5%で返すなら、35年の総額が4,361万円。これがもし金利3%になると、総額6,465万円で支払額が1.5倍になる。利子は361万円から2,465万円だから実に6.8倍だ(注:実際は経年で金利が上昇するので、例より利子負担は軽減される)

 

もちろん「金利が上がるときは経済が上向きで、収入や資産の利息も上がる」という見方もあるが、こういった金利上昇リスクを認識しておくことは必要だろう。その論拠に、住宅ローン審査に「年収に対する返済比率35%以下」という指標があるが、このときに貸出金利が変動0.5%でも、審査上は3%~4%の金利を用いる金融機関が珍しくない。

 

つまり、前述の「4,000万円/35年ローン/変動金利0.5%」であれば、月額103,834円のものが金利3%なら月額153,940円となり、審査上は月5万円の増額となる。バブル絶頂の金利6%超とはいかないまでも、3%程度への上昇を金融機関は想定して審査しているのだ。

※ 変動金利は5年ごとの返済アップを1.25倍までとするルールがあるが、残り分は後年へ積み増しされる。