憧れのマイホーム……どんな家に住みたいか想像が膨らむもの。なかでも通勤・通学に便利な都心のタワーマンションは、世帯収入の多いパワーカップルに人気です。しかし、将来起きうるリスクを考慮しないと、早々に手放してしまうことになりかねないと、FP Officeの橋本徹氏はいいます。余裕のタワマン購入から一転、返済困難に陥ってしまったパワーカップルの事例みていきましょう。
世帯年収1,600万円の勝ち組夫婦…タワマン購入にご満悦も「早々に売却」のワケ (※画像はイメージです/PIXTA)

パワーカップルも注目…人気を集める「高額タワマン」

そもそもタワマンとはどのような建物を指すのでしょうか? 明確な定義はありませんが、高さ60m以上・20階建以上が一般的にタワマンと呼ばれています。

 

不動産経済研究所が発表した2022年上半期(1~6月)の新築分譲マンション動向によると東京23区の平均販売価格は8,091万円となっていますが、タワマン高層階になれば億超えは珍しくありません。東京都心となれば全戸億越えの物件もあります。

 

不動産検索サイトを見れば、そのような1戸1億円以上する分譲マンションの人気倍率が4倍を超えているものも……。億超え物件となると一部の富裕層や投資家しか購入できないと思われがちですが、昨今の異常ともいわれる低金利も手伝って、いわゆる「パワーカップル」も主要な購入層として注目を集めています。

 

パワーカップルにも明確な定義はありませんが、「世帯年収1,000万円以上」「夫婦ともに700万円以上の年収」など、いずれにせよ高所得の世帯を指す言葉です。

 

パワーカップルはタワマンを買える?…購入シミュレーション

仮に、東京23区内の平均価格である8,000万円のタワマン物件をパワーカップルが購入したらどうなるか、みてみましょう。

 

・世帯年収……1,600万円(世帯主900万円・配偶者700万円)
・借入額……8,000万円
・返済期間……35年
・金利……1%


上記の条件であれば、月々の返済は約25万7千円で、年収に占める住宅費(ローン返済のみ)は約20%となり、特に問題のない返済金額です。

 

しかし、ローン返済以外に管理費や修繕積立金などが毎月かかるので、実際の収入に占める住宅費割合は20%を超えてくる点には注意が必要でしょう。

 

この管理費や修繕積立金などの維持費負担が重くのしかかり、タワマンを手放すケースがあります。今回は生活環境の変化や家庭内の問題によって手放さなければならなかったケースをみていきましょう。