自由診療でのさまざまな歯科治療
さらに具体的に、歯科の自由診療内容について見ていきます。
①予防・メンテナンス
家庭でのブラッシングだけではプラークや歯石を完全に取り除くことはできません。虫歯や歯周病の原因となる細菌を取り除いて清潔な口内環境をつくります。
②インプラント
歯を失った方は人工の歯根を顎の骨に埋め込み、セラミックの歯をかぶせることで、天然歯に近い強度と審美性を備えた新たな歯を得ることができます。サルコペニア(身体機能の低下)、オーラルフレイル(虚弱)を防ぐこともできます。
サルコペニアになると入院や転倒のリスクが上昇するといわれています。やはり奥歯でしっかり噛めるようにインプラントで治療することは、健康な老後を過ごすための重要な予防であるといえます。
③顎関節、噛み合わせ
一般的なマウスピースによる治療のほかにも、顎機能検査、筋電図、マイオモニターのデータを基にずれた噛み合わせを治す「ゴールデンスマイルテクニック」による顎関節治療などがあります。
④メタルフリー
金属を使用しない治療であるため、金属アレルギーの方にも安心です。天然歯に近い硬さなので噛み合う歯にも負担が少なく、歯ぐきの黒ずみも起こりません。思いっきり笑うこともためらう心配はありません。
⑤矯正
歯並びを整えることは、見た目の美しさはもちろん、全身の健康状態にも良い影響を及ぼします。食べ物が残りにくくなるので虫歯、歯周病、口臭リスクが減りますし、しっかり噛めるので胃や消化器官への負担も減らせます。噛み合わせも良くなり、顔の歪み、肩こり、腰痛、めまい、などの不調が解消されるケースもあります。
⑥小児矯正
小児矯正とは、主として乳歯列期に予防矯正治療の一環として行われる治療のことをいいます。この時期に適切な処置を行うことにより、不正咬合や虫歯の発生を抑制するのが目的となります。
⑦精神鎮静法
精神鎮静法は、歯科治療に対する不安・緊張感を軽減・除去し精神的ストレスに伴う不快症状の発現を防ぎます。「不安、恐怖感、緊張感をもつ」「気分不快や意識消失などの既往をもつ」「高血圧や心疾患などがある」「嘔吐反射が強い」「脳性麻痺がある」「障害がある」といった方も安心して治療を受けることができます。障害者治療については、事前に問い合わせて対応の可否を確認してください。
⑧根管治療
根管治療とは、虫歯が大きくなって歯の中に通っている神経まで到達している場合、その神経を除去してきれいにする治療のことです。要するに、感染物質を除去するということです。肉眼では見えない治療なのでマイクロスコープや拡大鏡を使用することは重要ですが、使いこなすには技術が必要なため、それを所持していればいいというわけではありません。
「以前に神経を取った歯が痛み出し、噛むととてつもなく痛い」「歯医者に通って何回も薬を交換したが一向に治らない」「やはり歯を抜くしか方法がないのか」など、つらい症状で困っている患者にはセカンドオピニオンをおすすめします。
⑨高濃度ビタミンC点滴療法
近年、歯科治療における高濃度ビタミンC点滴を使用した治療が注目されています。その効果としては、術後の傷の早期回復、腫れ・痛みの軽減、感染予防などがあります。
⑩口腔外科
開業医で行う口腔外科処置は、基本的には小手術になります。例えば、親知らずの抜歯もこれに当たります。抜歯したほうがいい理由は、親知らずの手前にある奥歯(第二大臼歯)をメンテナンスしやすくし、虫歯や歯周病から守ることにあります。
自分の歯を1本でも多く残すためには、これらの治療のなかから一人ひとりに合った治療を受けることが大切です。
金子 泰英
医療法人KANEKO DENTAL OFFICE 理事長・院長