不動産は経済市場の変化にも強いことから、インフレ対策に良いと昔からいわれてきました。しかし、長いデフレ経済の中で育った30~40代くらいには、インフレ時に不動産投資をするメリットは、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。そこでインフレと不動産の関係性と、なぜ不動産投資がインフレ対策になるのかなど、解説していきます。
不動産は「インフレ」に強いが…不動産投資のインフレリスクを解説

今こそ不動産投資をスタートすべき5つの理由

インフレに強いといわれる不動産への投資を、今このタイミングでスタートすべき理由を5つにまとめました。

 

「貯蓄から投資」は時代の潮流と合致している

岸田政権が掲げている「新しい資本主義」は、貯蓄から投資をして資産を増やすことで、将来の年金不安を解消するだけではなく、日々の暮らしへの安心感を強化するという意味合いにおいても、「投資」を推奨しています。

 

わかりやすくいうと、毎日・毎月の生活を支えるために消化されてしまう労働収入だけではなく、不労所得のような形で受け取れるタイプのお金が入るよう投資をライフプランに組み込むことにより、総合的に生涯年収を増やしていこうという提案です。

 

このような人生全体での総所得を上げる動きは、日本が戦後~昭和の成長時代にあった際、資産形成に興味のあった現在の富裕層が積極的に行っていたことでした。

 

また、資産形成に興味がないタイプの人でも、国家と企業が目覚ましく成長している時代は銀行金利も高かったため、会社員による労働収入を口座に入れておくだけで資産を増やすことができていました。

 

しかし岸田政権は、企業も個人もお互いに自立した経済を確立しようという、今までの日本にはなかったタイプの新しい経済の流れを提案しています。

 

すでに、テレビやネットニュースで、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)に改革をするという話が出ています、2022年の年末までには、個人資産を倍増できるための新しいプランなどが発表されることになります。

 

仮に、途中で政権交代があったとしても、今回の新しい経済提案はどの政権になっても引き継がれることになるでしょう。それほど日本は今、経済成長という点において、ターニングポイントに立たされているのです。

 

これらの新しい日本の経済成長のスタイルは、かつて日本がバブル時代に使っていた、終身雇用・退職金・高額な老齢年金などのような、国家・企業依存型のモデルとは違い、より個の生活力、個の判断力が求められています。

 

国民それぞれが、自分自身のライフプランを描き、自分にとって最適な生き方・暮らし方を、自己責任で作り上げていくというもので、一個人であっても経営者的・起業家的な感覚が求められることになります。

 

そして、インフレ時に資産が目減りする預貯金などはそのままにせず、何らかの形で「増やす」ための投資をすることが、国家プロジェクトとして推進されていくようになるでしょう。

 

持っているお金の価値を金銭以外のものに変えておける

インフレ時はお金の価値が低くなるので、お金を「より価値の高い別の何か」に替えておくと、資産を減らさずに済みます。

 

不動産はモノですので、物価が上がると家賃も上がります。家賃が上がると物件価格も上がりますので、インフレ時に不動産を所有するだけで、資産の増大がしやすくなります。

 

使う予定のないまとまった資金がある場合は、不動産を所有することでインフレ対策となり、大切な資産を守ることができます。

 

インフレ時代に、マイホームが必要なタイミングであれば自宅購入、そうではない場合は不動産を賃貸に出して賃料を得る不動産投資という形で、お金を生む不動産を得ることも検討しておくべきでしょう。

 

資産としての価値が変わりにくい

不動産は土地や建物という、現物のある資産です。不動産自体に一定の値段と価値がありますので、資産値は上がる時も下がる時も、ゆっくりとしか変化しません。

 

過去にはバブル崩壊などで地価が急激に下落したケースもありますが、バブル期の問題は本来の価値以上の価格がついていたことが原因です。

 

本来の相場価格の範囲であれば、株価やFXなどが急落するようなスピードで、不動産の価値そのものが無くなるようなことにはなりませんので、不動産投資は何があっても事前に有効な対策が打てるタイプの投資です。

 

また、建物の価値を表す基準に法定耐用年数がありますが、耐用年数とは法的な意味での価値であり、実際の建物は手入れをしていけば、それ以上に住み続けることができます。

 

仮に、耐用年数を過ぎた中古マンションであっても、適切なリフォームやリノベーションをかけることにより、新しい耐用年数が発生しますので、物件の実際の寿命を延ばし続けることが可能です。

 

資産運用のパフォーマンスが上がる

インフレ経済が続くと、モノである不動産は価値が上がります。特に不動産投資の場合は、家賃と資産、両方の価格上昇がありますので、結果的に投資パフォーマンスが上がります。

 

家賃が上がるのは、住居がモノであるため、物価上昇に速やかに連動するためです。もちろん、インフレが長引けば、銀行の金利が上昇する可能性も高まりますが、物価上昇のスピードよりは遅いので、不動産投資にとっては追い風になります。

 

同じ資産運用でも、株や債券などの金融商品の場合は、パフォーマンス自体に問題がなくても、インフレになる速度が早ければ、それに合わせて金融資産の価値が下がっていきますので、運用中に大きく目減りをすることもあります。

 

たとえば、途中で解約することができない投資信託の場合は、償還日には、かなり資産が減った状態になっている可能性もあります。

 

このようなことを前提に考えると、インフレ時の資産運用先として、不動産投資は手堅い方法であるといえます。

 

資産運用として不動産投資を選ぶ場合に気を付けることは、入居者が付きやすい立地・エリアを厳選し、適切なサポートを得られる信頼と実績のある不動産会社のサポートを得ることです。

 

海外投資家が日本の不動産投資に注目している

世界大手の不動産サービスJLLによれば、2021年度の世界都市別の不動産投資額ランキングでは、東京が235億ドルで世界7位、大阪が55億ドルで世界51位、地域別では東京都心5区の投資割合が約40%です。つまり海外からみたときに、日本での不動産投資とは、東京にある不動産への投資であることがわかります。

 

東京の不動産が投資先として注目されるのも、世界的なインフレが引き金となっています。すでに、世界各国の中央銀行は経済対策として、国債やREITなどの金融商品を大量購入する財政出動をしながら、お金を世界市場に供給していますので、各国の金融政策自体が結果的に世界的なインフレに一役かっていることになります。

 

その結果、国ごとの金融商品の利回りは下がり、どの商品に資本投下をしても、投資家は儲からなくなります。そこで、インフレ対策の定石として不動産や金にお金を移動させようとするのですが、ここ数年は、投資先として日本の不動産が注目され始めています。

 

日本は世界の中でも政治リスクが低く、今後も低金利が続くことが予想されているため、投資効果が高いと判断されています。また、東京の不動産価格は世界の主要都市の不動産価格と比較した場合、かなりの割安感があります。

 

加えて、世界有数の大都市でありながら犯罪率が驚くほど低いこと、入居希望者の分母となる人口が多いことを考慮すると、海外投資家にとって、東京への不動産投資は宝の山のように見えているのでしょう。

 

私たち日本人は「水と安全はタダ」がデフォルトなため、東京の投資物件の価値に気が付いていない人も多いかもしれません。しかし、「東京での不動産投資」は、世界中の投資家たちが注目している、絶好のインフレ対策でもあることを知っておく必要があります。