不動産は経済市場の変化にも強いことから、インフレ対策に良いと昔からいわれてきました。しかし、長いデフレ経済の中で育った30~40代くらいには、インフレ時に不動産投資をするメリットは、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。そこでインフレと不動産の関係性と、なぜ不動産投資がインフレ対策になるのかなど、解説していきます。
不動産は「インフレ」に強いが…不動産投資のインフレリスクを解説

不動産投資がインフレ対策になる大きな3つの理由

インフレ対策として不動産を所有することが適している理由を3つにまとめていきます。不動産はマイホームとして取得する以外にも、不動産投資物件という形で所有することもできます。

 

どちらも同じようにインフレ対策となりますが、不動産投資物件として所有すると、収益を生む不動産となります。今すぐにマイホームが必要ないのであれば、収益物件を持つという形で、インフレ対策をすることが可能です。

 

資産としての価値が下がりにくい

不動産はモノですので、インフレ時に価値が上がるタイプの資産です。そのため、昔から不動産はインフレに強いといわれています。

 

資産には大きく分けて、金融資産と実物資産があります。金融資産とは預貯金や株式、債券のような、お金そのものを取り扱うタイプの資産です。実物資産とは、不動産や金のように実体のあるものを資産とするものです。

 

実物資産には、そのモノ自体にある程度決まった価値があるため、経済動向の変化に対しても、ゆっくりとしか影響を受けません。また、実体がありますので、株や証券のように、ある日突然、資産が紙クズ同然になってしまうこともありません。

 

また、不動産には土地と建物があり、土地は経年をしません。建物は、築年が経過するほど価値が下がるのが普通ですが、これに関しても法定耐用年数という資産価値の下がる速度が法で決められており、急激なスピードで価値が落ちないようになっています。

 

たとえば、木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年という時間をかけて、新築からゆっくりと資産価値が下がることが決められています。

 

つまり不動産には、もともと消えないタイプの資産価値があり、さらに価値が目減りする速度が法で守られているため、市場経済の影響を受けにくく目減りしにくい資産なのです。

 

インフレ時は家賃も上昇する

インフレ時には、世の中のモノやサービスの価値が全体的に上昇しますので、家賃も一緒に価格上昇します。

 

インフレのタイミングで不動産投資を始めるときに気になるのは、不動産の価値が高くなっても、購入する物件まで値上がりしてしまうのだから、やっぱり不動産投資をするのはデメリットなのではないか?ということでしょう。

 

しかし、インフレ時は人々の財布に余裕がありますので、家賃を高めに設定しても入居者が決まりやすく、購入資金の上昇分がカバーできます。

 

インフレが続く中、更新などのタイミングで所有している賃貸物件の家賃を値上げしたとしても、インフレ時には入居者の給与も上昇していますので、ほとんどのケースで問題なく経営を続けることができるでしょう。

 

もう一つの懸念材料としては、インフレに円安が重なると、投資物件の建築資材の価格が高くなることがあります。たとえば、これから建築する新築物件は資材や人件費が高くなるだけで、スペックが上がるわけではありませんので、割高感のある買い物になる可能性があります。

 

しかし、中古物件はすでに建っている建物ですので、これ以上の資材と人員が不要です。代わりに、リフォームやリノベーションをするための資金が高くなってしまう可能性はありますが、このようなコストもインフレに合わせて家賃設定を上昇させることによってカバーできます。

 

確かに、インフレ経済では、コスト高は不可避です。しかし、株式投資や投資信託などをして、パフォーマンスが下がったことにより、投資額そのものが大幅に目減りしてしまうことや、ただ貯金として口座においてあるものが、インフレによってどんどん実質的な目減りをしていくことと比較すると、資材高騰によるコスト高は、かなり限定的なデメリットといえます。

 

投資用ローンが目減りする

不動産投資を始める際、多くの方は金融機関からの融資を受けてスタートしますが、インフレ下では貨幣の価値が下がっていますので、実質的に借金の価値も相対的に下がることになります。

 

少し乱暴な言い方をすると、インフレで最もトクをするのは、たくさん借金をしている人、ということにもなるでしょう。

 

固定金利でローンを組んだ場合は、長引くインフレによって金利が上昇したとしても、最初に設定した金利のままで支払いが続けられますので、さらにトクをすることができます。

 

ただし、インフレ時は金利上昇もしやすくなりますので、不動産投資をスタートさせるときには、金利政策などの情報を確認しながら、なるべく長い期間、低金利で固定できるローンを選ぶことが大切です。