「認知症高齢者、信じられない高温の中で平然と生活…」水分補給だけではない、「正しい熱中症対策」【専門医が解説】

岡田 有史
「認知症高齢者、信じられない高温の中で平然と生活…」水分補給だけではない、「正しい熱中症対策」【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

猛暑もピークに差し掛かってきた昨今。通説となっている熱中症対策は、じつは間違っているかもしれない─。特に「認知症の高齢者が孕む危険性」など、熱中症に関する正しい知識を、内科医で日本スポーツ協会公認スポーツドクターの岡田有史医師に解説いただきます。

「救急車が来ない」「病院が見つからない」…

もうすぐ9月になりますが、まだまだ暑い日が続いていますね。この時期では熱中症による事故が非常に多く、連日のように熱中症に関するニュースを目にします。

 

消防庁のデータによりますと、令和3年6月~9月の熱中症による救急搬送は4万6,251人だったようです。現状の新型コロナウイルス感染症の第7波においては、熱中症で救急搬送が必要になっても「救急車が来ない」「搬送先の病院が見つからない」など大変な状況となっています。ですので、このような状況では皆様がそれぞれ熱中症予防に努めることがとても重要となります。

 

熱中症の予防法と聞いて、皆様が最初に思いつくのが「水分補給」だと思います。ただ、水分補給と言っても、飲み物には水やお茶、スポーツドリンクに加えて、最近では経口補水液などもあり、実際に何を飲んだら良いのかわからないという方も多いと思います。

熱中症の根本原因は?

まず、熱中症に関して必ず知っておいてほしい知識としては、熱中症の根本的な原因は「深部体温の上昇」であるということです。人は日常生活において筋肉の収縮などにより体内では絶えず熱が産生されますが、発汗などにより熱は放散され、正常な体温が維持されます。ですが、気温や湿度が高い環境では熱放散が不十分になり、徐々に深部体温が上昇し、最終的には熱中症に至ります。

 

「熱中症を予防するためにたくさん水分を摂っています」という話をよく聞きます。もちろん熱中症を予防するために水分をしっかり補給し、脱水状態にならないようにすることはとても重要ではありますが、ただ水分をたくさん飲めば熱中症にならないという訳ではありません。

 

先ほど熱中症の原因は「深部体温の上昇」であると言いましたが、水分補給をすることは発汗による脱水を予防し、間接的に「体温上昇」を抑えることに繋がります。ですが、いくらしっかり水分補給をしても暑さの厳しい環境では「体温上昇」を抑え込むことは難しい場合も少なくありません。そこで、「水分補給」と同じくらい大切なことが「クーリング」になります。

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