幼稚園やスーパー、電車のなかで声が大きくて困ってしまうことはありませんか。「子どもの声が大きくてうるさい」「静かにして欲しい場所で騒いでしまう」などの相談が寄せられることがあります。電車や病院では周りの目も気になりますよね。今回は、子どもの声が大きくなってしまう原因や大きさを調整する方法、遊びを言語聴覚士の視点から紹介します。
しっ、静かにして!電車でもスーパーでも大声で騒ぐ子ども【言語聴覚士が原因と対策を解説】

子どもの声が大きくなってしまう原因

 

声が大きくなってしまう原因はいくつか考えられます。どれもコミュニケーションに影響が出てしまう場合があり、その際は言語聴覚士の出番となります。

 

考えられる4つの原因

1.耳が聴こえにくく、難聴の可能性がある

2.その場の状況の理解が苦手

3.感情や自分の気持ちが抑えられない

4.声の大きさの調整ができない

 

1.耳が聴こえにくく、難聴の可能性がある

自分の耳に自分の音声が届きにくく、自然と声が大きくなってしまいます。名前を呼んでもなかなか気が付かなかったり、周りの子どもの行動を見てから動き出したりする(指示が聴こえない)なども難聴が疑われることがあります。当てはまる場合は健診や耳鼻科で確認が必要です。

 

2.その場の状況の理解が苦手

その場の状況の理解が苦手な子は周囲の状況がどのようなものなのかしっかり認識できなく声が大きくなってしまうことがあります。

 

たとえば、病院や電車などの周りが静かにしている場合は、自分の声も小さくする必要があります。なぜ声を小さくしなければならないのか、をわかっていない場合があります。

 

そのような状況理解が苦手な子は周りを見てもらうことが重要です。「具合が悪い人がいるから小さい声でお話ししようね」「みんな静かにしているね」など周囲の状況や他の人がどのように過ごしているかを注目させ、具体的に伝えましょう。

 

また、ついつい「静かに!」と注意してしまうことがありますが、静かにできた時に「静かにできてえらいね」「小さい声のお話が上手だね」と褒めた方が定着しやすいと言われています。できたことにも目を向け、それが上手くできたことであるというフィードバックをすることが大切です。

 

3.感情や自分の気持ちが抑えられない

感情や気持ちが抑えられない場合に、「わあああっ」とか「きゃあああ」など大きな声で話してしまう場合があります。これは、その時の感情のコントロールが難しい場合に見られることがあります。

 

そのような時は子どもが自分の感情に気づく必要があります。子どもの頃はなんとなくの不快感がどのような感情なのか表現できず、大声となってしまいます。

 

毎日の生活や遊びの中で場面に合わせて「楽しいね」「悲しかったね」「美味しいね」など大人が声をかけます。感情も周りの声かけによって「楽しい」「痛い」「腹が立つ」を学んでいき、「お腹が空いたからおやつちょうだい」など表現できるようになっていきます。

 

一朝一夕では大人も難しいことですが、その時の子どもの発達に合わせて声をかけてみてください。

 

4.声の大きさを調整ができない

声の大きさの調節が可能な幼児の割合は3歳で35%、4歳で61.9%、5歳で77.3%、6歳で94.4%と言われています。

このように2歳、3歳くらいではなかなかな大きさの調整は難しいですが、普段から大きい声と小さい声の調整の練習をしておくことで調整が可能になっていくとも言われています。