自分は何もできない、どうせ失敗する…「自己評価が低過ぎる人」の根本原因 (※写真はイメージです/PIXTA)

自分自身をどのように評価するかは、人間関係や物事のとらえ方、目標達成などあらゆることに影響してきます。生きるうえでとても大切な「自尊感情」は、どのように発達・向上するのでしょうか? 精神科医・庄司剛医師が解説します。

生きるうえで重要な「自分自身の評価に関する感情」

自尊感情、自尊心は、自分を大切に思うなど自分自身の評価に関する感情のことをいいます。自分を大切に思えないと自己評価も低くなり、自分を信じることができないために「どうせ失敗する」とか「どうせ嫌われているから」などと、なにごとも否定的なとらえ方をするようになります。

 

こうした思考が、人間関係や物事のとらえ方、目標達成などあらゆることに影響してきますので、自尊感情は生きるうえでとても大切な感情です。

子どものころの体験、特に「親の言動」が大きく影響

自尊感情の形成には、やはり子どものころの体験が大きく影響しています。特に子どもにとって親は絶対的な存在ですから、例えば「ほかの子はできるのに、どうしてあなたはできないの?」とか「90点で満足してはいけない。100点を取りなさい」などと親に褒められたり認められたりした経験が少なかったり、親の言動に否定的な要素が強ければ、子どもは「自分は無力だ」「自分は頭が悪いからダメなんだ」と思い込んでいきます。

 

ほかにも、親とのコミュニケーションやスキンシップが極端に少ないと、親の愛情を実感できないために、子どもは「自分はいらない子」と不安を抱き、安心感を得られず自信ももてなくなります。

一方、過保護や過干渉も「自己否定する子」を生む

また、見た目は子どもに深い愛情を注いでいるように思われる過保護や過干渉の場合も、子どもの自己評価を低くしてしまうことがあります。

 

過保護、過干渉の親は先回りして子ども自身でやるべきことをやってしまいます。これは親が自分の意見を押し付けることになるばかりでなく、ゆくゆくは子どもに対して、「あなたにはできないから、私(母親、父親)がやってあげている」というメッセージになります。つまり、結果的に親が子どもを信じられず否定していることになるので、子どもは自信を失い、「今のままではいけない」「これでは親に愛してもらえない」と自分を否定するようになります。

 

これらは子どもに対する親の不安を表しているわけですが、それは親自身が自分に自信がないところからきているのかもしれません。親自身に自信がなく、自己評価が低い人だと、自分の子どもの育て方についても信頼できません。ある意味親が子どもに自分の不安を投影するわけです。そうすると子どもも自尊感情が育まれにくくなるという世代間の負の連鎖のようなことが起こってしまうわけです。

自尊感情の形成に、実際の能力や才能などは関係ない

自尊感情は幼少期を通して両親をはじめとした周囲の人たちのポジティブな反応によって発達します。それはその人の実際の能力や才能、見た目とは必ずしも関係がありません。身体的あるいは知的能力が平均より低かったとしても、もし両親がその子どもの存在を純粋に喜んでくれれば、その子どもの自尊感情は発達し向上することができます。

 

しかしここで私が言っているのは、ただ単に親が子どもを褒めればいいということではありません。親が心から子どもを信頼しているかどうかという話なのです。もし親が子どもを心から信じていれば、たとえテストの点数がほかの子に比べて低かったとしても、例えば「算数は苦手でも、心根が優しいからそれで十分」とか「音楽ができるから、こっちを頑張れば良い」というふうに、その子独特のほかにはない価値というものを見出すことができます。

 

また評価が低いのは逆に期待値が高いことの裏返しでもあります。親の期待値が高ければなかなかその期待値に到達することができず、いつまでたっても認められないということになります。その価値観を取り込んで育った子どもも自分に対する要求水準が高く、自己評価が低くなってしまうかもしれません。つまり親の子どもに対する期待値が高いということと、信じているということはまったく別物どころか正反対のことといえます。

自分に対する「高過ぎる期待」を手放せるか

しかし特に自分に対する期待値の高さというものはなかなか手放すことが難しいものです。自分にはもっとできるはずという期待を裏切り、現状これが限界であるということを受け入れるのは、深い落胆と痛みをともないます。そして自分自身の価値がすべて損なわれてしまうのではないかと強い不安を感じてしまうのです。

 

しかしもしその自分自身に対する高過ぎる期待を手放すことができたとき、自分の家族、友人、同僚を含む周囲の人たちや日々の生活がそれでも変わらずに存在し、ともに生き続けてくれることに気づけるはずです。さらにうまくいけば、そんな平凡であるけれど現実的な生活に違った価値を見つけることができるかもしれません。

 

 

庄司 剛

北参道こころの診療所 院長

 

【勉強会/相談会情報】 

 

少人数制勉強会】30代・40代から始める不動産を活用した資産形成勉強会

 

【対話型セミナー/複数日】会社員必見!副収入を得るために何をすべきか?

 

【40代会社員オススメ】新築ワンルームマンション投資相談会

あなたにオススメのセミナー

    北参道こころの診療所 院長 

    1999年に筑波大学医学専門学群卒業後、東京大学医学部附属病院心療内科、長谷川病院精神科を経て2008年~2013年までロンドン、タビストッククリニックに留学。

    帰国後、心の杜・新宿クリニックに在籍し、2021年より医療法人イプシロン北参道こころの診療所に勤務。

    <所属学会>
    日本精神分析学会
    日本精神分析的精神医学会
    日本心身医学会
    日本精神分析協会訓練生

    <資格>
    精神保健指定医
    BPC(British Psychoanalytic Council) Psychodynamic Psychotherapist
    TSP(The Tavistock Society of Psychotherapist) メンバー

    著者紹介

    連載知らない自分に出会う精神分析の世界

    ※本連載は、庄司剛氏の著書『知らない自分に出会う精神分析の世界』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    知らない自分に出会う 精神分析の世界

    知らない自分に出会う 精神分析の世界

    庄司 剛

    幻冬舎メディアコンサルティング

    自分でもなぜか理解できない発言や行動の原因は、過去の記憶や体験によって抑え込まれた自分の本来の感情が潜む「無意識的な領域」にあった! 憂うつ、怒り、不安、落ち込み…。理由の分からない心の動きを精神科医が考察。…

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    登録していただいた方の中から
    毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ