米国のセクター別株価動向と業績見通し【ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●S&P500指数は年初から調整が続いたが、6月中旬から反発へ、業種別指数も興味深い動きに。

●6月中旬からの米国株のリターン・リバーサルが続くか否かは企業の業績見通しが1つのカギになる。

●テクノロジーや通信サービスの純利益は来年2ケタの伸びへ、ただ見通しの動向は引き続き要注視。

S&P500指数は年初から調整が続いたが、6月中旬から反発へ、業種別指数も興味深い動きに

2022年前半の米国株は、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ対応の遅れと、急速なタカ派転換により、大きく値を崩す展開となりました。S&P500種株価指数は、6月16日に年初来安値をつけ、昨年末からの下落率は23.1%に達しています。なお、同期間におけるS&P500種株価指数の業種別指数の動きをみると、11業種の中で上昇したのはエネルギーのみで、上昇率は39.2%でした(図表1)。

 

(注)2022年6月16日までは、2021年12月31日から2022年6月16日までの騰落率。2022年6月16日以降は、2022年6月16日から8月1日までの騰落率。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]S&P500種株価指数と業種別指数の推移 (注)2022年6月16日までは、2021年12月31日から2022年6月16日までの騰落率。
   2022年6月16日以降は、2022年6月16日から8月1日までの騰落率。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

しかしながら、6月16日以降、S&P500種株価指数は上昇に転じ、8月1日までの上昇率は12.3%となっています。業種別指数についても、興味深い動きがみられ、同期間において下落したのはエネルギーのみでした。また、昨年末から6月16日までの期間で最大の下落率となった一般消費財は、6月16日から8月1日までの期間で最大の上昇率となりました。

6月中旬からの米国株のリターン・リバーサルが続くか否かは企業の業績見通しが1つのカギになる

このように、6月16日を境に、きれいな「リターン・リバーサル」(売られすぎた銘柄を買う、あるいは、買われすぎた銘柄を売る)の動きが確認されます。なお、6月16日の前日は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.75%の大幅利上げが決定され、パウエル議長が、7月の会合で0.50%もしくは0.75%の利上げを行う可能性が高いが、その後は正常な利上げの範囲に入り、引き締めペースの選択肢が広がると述べています。

 

つまり、6月FOMCをきっかけとして、米国株の流れが変わりつつあるように見受けられます。この流れが続くか否かを見極める上で重要な要素の1つが、企業の業績見通しです。そこで、以下、足元の業績見通しを確認してみます。調査会社リフィニティブが、S&P500種株価指数を構成する主要500社について、4-6月期の決算状況を集計したところ、8月1日時点で283社が決算発表を終えました。

テクノロジーや通信サービスの純利益は来年2ケタの伸びへ、ただ見通しの動向は引き続き要注視

4-6月期の純利益について、市場予想以上となった企業の割合は、全体で82%に達しており、今のところ決算は好調と判断されます。業種別では、前述の強力なリターン・リバーサルが確認された一般消費財は77%、アップルやマイクロソフトを含むテクノロジーは87%、グーグルの持ち株会社アルファベットや旧フェイスブックのメタを含む通信サービスは64%、となっています。

 

市場の純利益の見通しは、主要500社全体で、2022年は前年比8.1%増、2023年は同8.4%増です(図表2)。業種別では、テクノロジーが順に5.7%増、11.2%増、通信サービスは10.4%減、13.2%増となっています。市場の関心はこの先、徐々に2023年の業績に移行すると思われるため、2ケタの利益の伸びが見込まれているテクノロジーや通信サービスには追い風です。ただ、当然ながら業績見通しは変化するため、引き続き動向の見極めは必要です。

 

(注)見通しは2022年8月1日時点の前年比伸び率。 (出所)リフィニティブの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]米主要企業500社の純利益見通し (注)見通しは2022年8月1日時点の前年比伸び率。
(出所)リフィニティブの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国のセクター別株価動向と業績見通し【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

    旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
    現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
    著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
    CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

    著者紹介

    投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

    著者紹介

    連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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