昨今、問題視される所得格差。低収入で困窮する人たちは、その状態から脱しようと努力するも、現実はなかなか厳しいもの。なかでも学卒時、希望の職業に就くことができず、40~50代になったいまでも非正規社員に留まる人たちは、浮上のきっかけを掴めずに、今に至ります。みていきましょう。
手取り18万円…氷河期世代「もう手遅れ」一生、救われない地獄絵図 (※写真はイメージです/PIXTA)

満足いく就職ができなかった…氷河期世代のその後

最低賃金で働かざるを得ないのは、多くは正社員以外の人たち(正社員でも最低賃金以下、ということも往々のしてありますが)。特に正社員と非正社員の格差、というものが最初にクローズアップされたのは、就職氷河期世代が最初かもしれません。

 

就職氷河期はバブル崩壊後、1993年から2005年に卒業した人たちで、1971年~1981年生まれ、2022年時点で41歳から51歳を迎える人たちを指します。新卒求人倍率が下がり続け、2000年には0.9倍まで落ち込みます。さらに15~24歳の完全失業率は、2003年に10%を超え、就職氷河期はピークに達しました。

 

大学を卒業したのに、満足いく就職先が見つからない……そのような状況下、非正規でもなんでもいい……と社会に出る人も珍しくありませんでした。

 

その後、雇用環境が改善した際に、転職などを成功させて正規社員になれた人はよいほうで、なかには、一度も正規社員になったことがない人も。いわゆる「不本意正規」は20代~40代で25%前後いますが、50代で31.7%に達します。

 

【不本意正規の割合】

20代:24.7%

30代:25.3%

40代:25.1%

50代:31.7%

60代:19.7%

 

出所:内閣府『満足度・生活の質に関する調査報告書 2022』より

 

いま政府は氷河期世代の支援について積極的に口にしていますが、そこで救われるのはほんの一部。そして氷河期世代の中でも若い人たちです。一度も正規社員になっていない人は、キャリアが不十分、でも年齢は中間管理職世代……そのような人たちを企業側が採用したいかといえば、よほどの優遇制度がない限りは難しいでしょう。

 

正規社員の平均給与は月35万円、手取りにすると27万円、推定年収は522万円。対して非正規社員の平均給与は月23万円、手取りにすると18万円、推定年収で300万円。低賃金のため、日々の生活だけで精一杯で、結婚など考えられず、老後を見据えての貯蓄も進まず……低賃金による負のスパイラルが、いつまでも付きまといます。

 

氷河期世代の支援を後回しにした結果、「中高年のひきこもりが増加した」「出生数が減少した」「マネージメント層が不足」など、さまざまな弊害が起きています。ただ、いまから苦汁をなめた氷河期世代を救ったところで、これらの問題は解決することはないでしょう。「氷河期世代の支援は具体性にかける」とか「人気取りでしかない」などの批判はよく聞かれますが、支援による効果を考えてみれば当然の話。もう手遅れであり、当の本人たちは諦め(元々、期待していないという声が聞こえてきますが)、できる範囲で将来に備えることしかできないのです。