昨今、問題視される所得格差。低収入で困窮する人たちは、その状態から脱しようと努力するも、現実はなかなか厳しいもの。なかでも学卒時、希望の職業に就くことができず、40~50代になったいまでも非正規社員に留まる人たちは、浮上のきっかけを掴めずに、今に至ります。みていきましょう。
手取り18万円…氷河期世代「もう手遅れ」一生、救われない地獄絵図 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本は主要国の中でも「所得格差」の大きな国

さまざまなところで「日本の貧困化」がいわれていますが、実際はどうなのでしょうか? OECDの資料で各国の貧困率(相対的貧困率。等価可処分所得が貧困ライン以下の世帯に属する国民の比率で、貧困ラインは全国民の等価可処分所得平均/中央値の50%)をみていくと、最新2019年の統計では、日本は主要42ヵ国中12位(日本のデータは2018年のもの)。また先進7ヵ国で見ていくと、日本は米国に次ぐ順位(米国は4位)。世界主要国のなかでも貧富の差が大きな国です。

 

【主要国「貧困率」トップ10】

1位「南アフリカ」27.7%(2017年時)

2位「ブラジル」21.5%(2016年時)

3位「コスタリカ」19.9%

4位「米国」18.0%

5位「ブルガリア」17.6%

6位「イスラエル」17.3%

7位「ルーマニア」17.0%

8位「チリ」16.5%(2017年時)

9位「韓国」16.3%

10位「ラトビア」16.2%

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12位「日本」15.7%(2018年時)

 

出所:OECD(2019年)

 

一方、日本の貧困率を経年でみていくと、2000年代に入り数値は悪化。貧富の差は大きくなり、リーマンショック、東日本大震災後の2012年には16.1%に達しましたが、近年は少しだけ改善の方向にあるようです。

 

【日本の貧困率の推移】

2018年 :15.7%

2015年 :15.7%

2012年 :16.1%

2009年 :16.0%

2006年 :15.7%

2003年 :14.9%

2000年 :15.3%

1997年 :13.7%

 

出所:OECD

 

貧富の差、つまり所得の差の大きくなったのは、2004年の派遣法の改正によるところが大きい、という論調が強くあります。派遣法ができたのは、1985年のことで対象業種は13だけでしたが、1999年の改正で原則自由化となり、さらに2004年には例外扱いで禁止だった製造業や医療業務への派遣が解禁となり、基本的に無制限となりました。確かに、2000年代の貧困率の上昇と一致しています。

 

ただ「派遣無制限」と「所得格差拡大」はイコールとまではいえなく、それ以前に、派遣などの立場の人の時給が低いということが根本的な理由だといえるでしょう。

 

同じくOECDの統計によると、世界主要31ヵ国の最低賃金水準(フルタイム従業員の平均賃金を100とした場合の法定最低賃金の比率)をみていくと、日本は45.17%で27位。賃金水準からして、格差が大きいのですから、所得格差が大きくて当然のことです。