(※写真はイメージです/PIXTA)

かつて、不整脈の治療といえば薬物療法が主流でした。薬を使わない場合は外科手術により直接心臓の異常部分を治療していましたが、決して低くないリスクが……そこで登場したのが、メスを使わない手術「カテーテルアブレーション」です。今回は、その手術精度をさらに高める「3次元画像システム」の詳しいしくみやカテーテルアブレーションの成功率などについて、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長が解説します。

 

2.マッピングカテーテルで心臓の位置情報と電気情報を取得

対象となる心房や心室へアプローチしたあとは、マッピングカテーテルで心臓の電気情報と位置情報を取得します。[図表5]は、まさにいま、情報を取得している最中の画像です。

 

[図表5]3次元画像システム③
[図表5]3次元画像システム③

 

図表左の右下に、手のひらのように5本の指を持つ機器が見えます。これは「PENTARAY®」という電極カテーテルで、5本の枝が放射状に広がりながら心内膜に接すると、直径35mmの範囲を20の電極でマッピングしていきます。

 

コンピューターはカテーテルの先端位置を正確に把握し、まず心臓の立体構造を描写します。このとき位置情報のみならず、先端の電気情報も取得していきます。

 

電気情報とは、「何ミリボルトの電気でその心筋が興奮しているか」という数値のことです。健康的な心筋はボルテージが高くなり、反対に病的な心筋はボルテージが下がっています。つまり電気情報を視覚化することにより、「このあたりに不整脈の源がありそうだ」という見当がつき、迅速に治療をすることができます。

 

3.不整脈を人工的に誘発

マッピングが完了したら、不整脈を2つの方法のいずれかで誘発します。ひとつは薬を使う方法、もうひとつはカテーテルで心筋を電気刺激する方法です。

 

これらの方法を用いることにより、ほとんどの不整脈が誘発できます。たとえば心房細胞の場合、90%の確率で不整脈を誘発することができますし、発作性上室性頻拍症はほぼ100%の確率で誘発できます。

 

しかし、なかには不整脈を誘発できないケースもあります。たとえば、「心室性期外収縮」は全身麻酔を使うと消えてしまうタイプの不整脈です。これは非常に“気分屋な不整脈”で、ちょっとした環境の変化で消えてしまいます。いったん不整脈が消えてしまうと、薬や電気刺激を使っても、誘発することは困難です。

 

こういったケースの場合は、局所麻酔を使いながら自然に不整脈が起きるのを待ち、カテーテルアブレーションを行います。

"継承"なしで正確にデータがわかるコンタクトフォース

カテーテルアブレーションをするときに当院で使用するのは、「コンタクトフォースアブレーション」です。これは「カテーテルの先端からどれくらいの圧が、どちらの方向にかかっているか」が的確にわかるカテーテルです。

 

[図表6]「コンタクトフォースアブレーション」で手術を行う様子
[図表6]「コンタクトフォースアブレーション」で手術を行う様子

 

これは、ちょうどカテーテルアブレーションを行っている最中の画像です。左上に向かっている矢印は圧のかかっている方向を意味し、中央の数字は圧力の数値やすでに焼灼した心筋の深さを示しています。

 

ちなみに、この手術は全身麻酔をしているため、心臓がほとんど動いていない状態です。治療前の検査により、心房細動の原因が左肺静脈にあることがわかったため、左肺静脈の周りを取り囲むようにして隔離手術をしています。

 

こうしたコンタクトフォースが開発される以前、医師はレントゲンを見ながら各々の技術と経験をもとに手術を行うしかありませんでした。通電時間や出力の目安は、病院ごとに師匠から弟子へ継承されるかたちです。

 

しかし、コンタクトフォースが開発されたことで、圧力の方向と焼灼範囲が明確に視覚化され、手術の精度は極めて高くなり安全性も大きく向上したのです。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。

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