「カテーテルアブレーション」の流れ
カテーテルアブレーションは、手術中に不整脈を誘発してその実態を把握し、すぐさま原因となっている心筋を焼灼するという手法を用います。時間が勝負となるこの治療は、いったいどのような流れで行われていくのでしょうか。
「磁場発生装置」で不整脈の位置を正確に認識
[図表1]は、カテーテルアブレーションを行う当院の手術室です。左下にある「磁場発生装置」の付いたベッドの上で行います。
![[図表1]カテーテルアブレーションを行う手術室](/mwimgs/6/0/540/img_60f927485fa0206d996b1e8c8e012cf3125604.png)
GPSとまったく同じ原理で、ここに3つの磁場が発生するポイントがあります。そして、その真上のベッドに患者さんが横たわり、患者さんの心臓に「磁気センサー付きカテーテル」を挿入します。
![[図表2]心臓のレントゲン写真](/mwimgs/1/9/540/img_19af83904ad5f282259453122b6fb65d101128.png)
[図表2]が、患者さんの心臓のレントゲン写真です。心臓にカテーテルが入っていることがおわかりいただけるでしょうか。
このカテーテルには磁気センサーがあり、ベッドの真下には磁場発生装置があります。つまり、磁場発生装置により磁気センサー付きカテーテルを動かすことで、空間的な位置を正確に認識することができるのです。
手術精度をさらに高める「3次元画像システム」
カテーテルアブレーションの手術では、正確性やスピード、効率性が求められます。それを支援するのが、手術中に診断から治療までをサポートする「3次元画像システム」です。
このシステムでは、心臓内に挿入された「多電極カテーテル」によって数百から数千ポイントに及ぶ心臓の位置情報と電位情報を取得。そのポイントをトレースすることで、心臓の3次元画像を作成します。
カテーテルアブレーションの技術や治療機器は、まさに日進月歩の勢いで進化しています。本来、心臓は3次元の構造にも関わらず、以前は2次元のレントゲン画像を見ながら3次元の心臓をイメージし、カテーテルを細かく動かすことで焼灼していました。
しかし近年、このような3次元装置が開発されたことにより、手術の精度や安全性は驚くほど高まっています。
1.「心腔内エコー」で心臓内部を観察
3次元画像システムを使う際には、まず心臓のなかに磁気センサーがついた「心腔内エコー」を入れ、エコー越しに心臓の内部を観察します。
![[図表3]3次元画像システム①](/mwimgs/e/9/540/img_e97faf7120ffc3ccc50b29ffbd915b0f147535.png)
[図表3]は右心房にカテーテルを入れ、左心房を観察しているところです。この画像に基づき、臨床工学技士が左心房をトレースします。すると、次のような図([図表4])が完成します。
![[図表4]3次元画像システム②](/mwimgs/1/8/540/img_18344745f1e523af46baca3941347c2294978.png)
左右の図とも、右心房と左心房がきれいにトレースされています。
実際には大腿静脈からアプローチできるのは右心系のみです。しかし、右心系と左心系の間には「心房中隔」という壁があるため、左心房や左心室にアプローチするには、中隔に穴をあけなければなりません。
5~6年前までは、金属の針を使って心房中隔に穴を開け、左心房や左心室にアプローチするのが一般的でした。しかし、この心房中隔が非常に薄く、針を立てると伸びきってしまうことがあります。そうすると、穴が開いた瞬間に反対側の心臓の筋肉まで針が突き刺さってしまうリスクがありました。
しかし近年では、高周波で穴を空ける機器(高周波穿刺針)が開発され、針を押さずとも心房中隔にソフトに当てるだけで穴を開けることができ、左心系へ安全にアプローチできるようになったのです。
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