(※写真はイメージです/PIXTA)

かつて、不整脈の治療といえば薬物療法が主流でした。薬を使わない場合は外科手術により直接心臓の異常部分を治療していましたが、決して低くないリスクが……そこで登場したのが、メスを使わない手術「カテーテルアブレーション」です。今回は、その手術精度をさらに高める「3次元画像システム」の詳しいしくみやカテーテルアブレーションの成功率などについて、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長が解説します。

確実に根治を目指せる安定した成功率

カテーテルアブレーションは、頻脈性の不整脈にとって非常に有効な治療法です。そこで気になるのが、成功率。いったいどれくらいの確率で治療が成功しているのでしょうか。

 

薬物治療と回避率を比較すると…

[図表7]は、発作性心房細動の回避率を調べたデータです。つまり治療後、心房細動の再発をどれくらい防げたかを示すものです。

 

薬物とアブレーションの効果を比較するために、8つの大規模治験が行われました。青線で示しているのがアブレーションによる治療、赤線で示しているのが薬物を使用した治療です。

 

[図表7]カテーテルアブレーションの成功率:薬物との比較
[図表7]カテーテルアブレーションの成功率:薬物との比較


これをみると、心房細動の人に対してカテーテルアブレーションを1回行うと、だいたい70〜80%の人はよくなることがわかります。一方薬物を使用した場合は、平均すると30%程度の回避率です。

 

したがって、薬物と比較して、不整脈の治療成功率はカテーテルアブレーションのほうがはるかに高いことがわかります。こうした結果は心房細動のみならず、他のタイプの不整脈も同様です。

 

カテーテルアブレーションは根治療法ですが、薬物治療は対症療法であり、目指す先が違います。そのため、同じ土俵で比較すること自体ナンセンスかもしれませんが、このグラフからカテーテルアブレーションの有効性が十分ご理解いただけると思います。

 

不整脈のタイプによっては成功率にばらつき…主治医とよく相談を

[図表8]は、カテーテルアブレーションの成功率を示したものです。

 

[図表8]カテーテルアブレーションの成功率
[図表8]カテーテルアブレーションの成功率


これをみると、カテーテルアブレーションの成功率は、高ければ95%、低ければ50%程度ということになります。

 

不整脈の種類によって成功率にばらつきがあるのは、患者の状態や条件が均一ではないからです。たとえば、「慢性心房細動」は、1年以上心房細動が続いている長期持続性のものをいいますが、どれくらいの期間心房細動が持続しているかによって治療の成功率が変わるため、成功率は50%~80%とばらつきがあります。

 

10年以上というように、長期間心房細動が続いている場合には成功率が50%程度に落ちてしまいますが、3〜5年の持続期間であれば、80%程度の確率で心房細動を治すことができます。

 

また心室頻拍も成功率が50%~80%とばらつきがありますが、これは心機能の良し悪しによって変わるためです。心室頻拍は心筋梗塞のあとに発生することが多いのですが、心筋梗塞を発生する前の心機能が良かったのか、あるいは悪かったのかによってもアブレーションの成功率は変わってきます。

 

このように、不整脈のタイプによって成功率にばらつきが出るため、事前に主治医と相談し、どれくらいの成功率を見込めるのかを確認しておくといいでしょう。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。