給与が平均よりも多い、いわゆる勝ち組の会社員でも、現役中は住宅ローンや教育費など出費がかさみ、将来のための貯蓄は進まないもの。「退職金」という一発逆転を狙っている人も多いでしょう。しかしそこには思わぬ落とし穴が……。みていきましょう。
平均月収46万円…勝ち組会社員「退職金、少なっ!」悲劇的な大誤算 (※写真はイメージです/PIXTA)

大企業だから退職金も充実という思い込みが招く悲劇

もし「給与が多い/少ない」で会社員としての「勝ち/負け」が決まるのであれば、大卒・大企業勤務の会社員は勝ち組の部類にはいるでしょう。

 

もちろん業種や職種などにもよりますが、人よりも多くの給与が手に入り、年齢と共に順調に昇給していく、さらに老後についても心配なし……そんな未来が描けるわけですから、羨ましいと思わずにはいられません。

 

しかし当の本人たちからすると、どうも予想していた通りにはいかないのでは、と不安を抱くことも多いのだとか。そして不安の大きな要因になっているのが、定年時に受け取る退職金。

 

厚生労働省の外局である中央労働委員会が労働者数1,000人以上かつ独自に選定した大企業に対して行った『令和3年賃金事情等総合調査』によると、退職一時金制度を採用している企業は89.8%。

 

そのうち、一定の年齢や勤続年数で退職一時金を固定する制度がある企業は21.2%で、固定する平均年齢は57.2歳、平均勤続年数は29.0歳となっています。また退職一時金が定年まで増えるのは、78.8%でした。

 

退職一時金の受給資格付与に要する最低勤続期間(所要年数)については、会社都合では「1年未満」とする企業が最も多く、55.5%。自己都合では「3年以上」とする企業が最も多く、50.7%となっています。

 

制度の細かなところに違いはあれど、やはり大企業は退職金制度が充実しています。

 

さらにどれくらいの退職金を手にしているのかをみていきましょう。

 

大卒の男性の場合、勤続35年で1,903.3万円。満勤勤続で2,277.3万円。老後資産2,000万円不足問題と騒がれましたが、大企業勤務であれば「退職金だけで一気に解決!」となるわけです。

 

しかし2019年の前回調査と比べてみると、勤続35年で254.5万円、満勤勤続で59.1万円ほど減額となっています。

 

実は厚生労働省で5年ごとに行っている退職金についての調査でも、退職金の減額は顕著で、20年で1,000万円近くも減っていることが明らかとなっています。ちなみにこちらの調査は常用労働者30人以上と、中小企業を含む退職金額となっています。