2022年後半の「米国株」を展望する【ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●FRBのインフレ対応の遅れと、急速なタカ派転換で、2022年前半は米国株にとって厳しい局面に。

●大幅利上げで景気減速は避けられず、ダウ平均、S&P500指数、ナスダックの見通しは下方修正。

●米国株は目先低調も年末にかけてインフレや景気の過度な懸念が後退し株価の持ち直しを予想。

FRBのインフレ対応の遅れと、急速なタカ派転換で、2022年前半は米国株にとって厳しい局面に

2022年前半は、米国株にとって非常に厳しい局面となりました。米国では、2021年4月以降、すでに物価上昇の動きが顕著となっていましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)は当時、コロナ後の経済活動再開に伴う人手不足などが主因であり、物価上昇は一時的と判断していました。FRBがこの判断を撤回したのは同年11月で、結果的にインフレへの対応が遅れることになりました。

 

米連邦公開市場委員会(FOMC)は2022年3月、ようやく最初の利上げを決定し、その後、急速にタカ派姿勢に転じています。米国株式市場では、先行き大幅な連続利上げが見込まれるなか、景気減速懸念が強まっており、下げ止まりの兆しがみられません。ダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数の昨年末から昨日までの下落率は、それぞれ16.1%、21.1%、29.4%に達しています。

大幅利上げで景気減速は避けられず、ダウ平均、S&P500指数、ナスダックの見通しは下方修正

米金融当局は、景気が多少減速しても、大幅利上げによってインフレを抑制するという姿勢を示していることから、弊社は6月20日、ダウ平均、S&P500指数、ナスダックの見通しを下方修正しました。ダウ平均については、9月末の着地水準を33,200ドルから32,300ドルへ、12月末の着地水準を34,800ドルから34,700ドルへ、それぞれ下方修正しました(図表1)。

 

(注)単位はダウ平均がドル、S&P500指数とナスダックはポイント。2022年6月20日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。 (出所)三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]米国株の予想レンジ (注)単位はダウ平均がドル、S&P500指数とナスダックはポイント。
   2022年6月20日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。
(出所)三井住友DSアセットマネジメント作成

 

次に、S&P500指数については、9月末の着地水準を4,200ポイントから4,000ポイントへ、12月末の着地水準を4,400ポイントから4,300ポイントへ、それぞれ引き下げました。そして、ナスダックについては、9月末の着地水準を12,310ポイントから11,610ポイントへ、12月末の着地水準を12,900ポイントから12,480ポイントへ、それぞれ下方修正しました。

米国株は目先低調も年末にかけてインフレや景気の過度な懸念が後退し株価の持ち直しを予想

米国の景気については、この先、大幅利上げで減速が見込まれ、人手不足などの供給制約が徐々に解消されることで、年末までにインフレはいくらか落ち着くと予想しています。弊社の米国株の基本的な見方は、インフレや景気に対する懸念が残る間は、しばらく低調な動きが続くものの、過度な懸念は年末にかけて後退し、それに伴って株価は持ち直すというものです。

 

ただ、当面は下値不安がくすぶり、予想レンジの下限も意識されますが、その手前の水準として、2020年のコロナ・ショック直前につけた高値があります(図表2)。

 

(注)単位はダウ平均がドル、S&P500指数とナスダックはポイント。①はダウ平均が2020年2月12日、S&P500とナスダックは同年2月19日の終値。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]コロナ・ショック直前につけた高値 (注)単位はダウ平均がドル、S&P500指数とナスダックはポイント。
   ①はダウ平均が2020年2月12日、S&P500とナスダックは同年2月19日の終値。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

直ちにここに達するということではありませんが、想定外に市場が混迷を深めた場合は、コロナ・ショック後の金融・財政政策による株価押し上げ効果がリセットされる水準という意味で、注意しておきたいと思います。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年後半の「米国株」を展望する【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ