2022年後半の「ドル円相場」を展望する【ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●直近の米CPIとFOMCを受け、ドル円の見通しをドル高・円安方向に修正、年末は136円を予想。

●更なる利上げの織り込みなら一段の大幅なドル高・円安、日米金融政策に変化の兆しなら反転。

●弊社はドル円について、この先緩やかにドル高・円安が進んだ後、ドル高値圏での揉み合いとみる。

直近の米CPIとFOMCを受け、ドル円の見通しをドル高・円安方向に修正、年末は136円を予想

6月10日に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)では、市場予想を上回る物価の伸びが確認され、また、6月14日、15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、大幅利上げによるインフレ抑制姿勢が明示され、多少の景気減速は止むを得ないとの考えが示唆されました。これを受け、弊社は6月20日、ドル円相場の見通しを、ドル高・円安方向に修正しました。

 

これまで、年内の予想レンジは1ドル=125円~137円、年末着地は131円としていましたが、今回、年内の予想レンジは1ドル=130円~142円、年末着地は136円に設定しました(図表1)。

 

(注)データは2016年1月から2022年5月。2022年6月20日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。太線は予想レンジの上限と下限。<br>(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]ドル円の予想レンジ (注)データは2016年1月から2022年5月。2022年6月20日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。
   太線は予想レンジの上限と下限。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

前述の通り、米金融当局がインフレ抑制に本腰を入れたことで、市場で大幅な連続利上げが織り込まれた一方、日銀は金融緩和の維持に強い姿勢を示しているため、もう一段、ドル高・円安が進む余地は拡大したとみています。

更なる利上げの織り込みなら一段の大幅なドル高・円安、日米金融政策に変化の兆しなら反転

なお、米利上げの時期と幅について、弊社は7月に0.75%、9月に0.50%、11月と12月に各0.25%、来年3月に0.25%、を想定しています。ドル円が予想レンジの上限に近づく1つのシナリオとしては、市場が弊社想定以上の利上げを織り込み、米長期金利が上昇する展開が考えられます。弊社は米10年国債利回りの年内予想レンジは3.00%~4.00%、年末着地は3.50%とみていますので、具体的には4.00%に近づく場合ということになります。

 

これに対し、ドル円が予想レンジの下限に近づく1つのシナリオとしては、日米の金融政策に変化が生じる展開が考えられます。米国については、市場で早期大幅利上げの織り込みが一巡し、利下げが意識されるケースです。日本については、2023年4月の黒田日銀総裁の任期満了が近づくにつれ、政策変更の思惑が強まるケースです。いずれも実際に発生すれば、日米金利差拡大を背景とするドル高・円安の流れは反転しやすくなります。

弊社はドル円について、この先緩やかにドル高・円安が進んだ後、ドル高値圏での揉み合いとみる

米国の景気はこの先、大幅利上げによって減速が見込まれ、人手不足などの供給制約が徐々に解消されることで、インフレはいくらか落ち着くと予想しています。また、足元のフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、来年夏ごろの利下げが想定され始めており、大幅なドル高・円安の進行は一服する可能性も高まりつつあります。弊社は、もう一段、緩やかにドル高・円安が進んだ後、ドル円はドル高値圏で揉み合うと考えています。

 

なお、ドル円はここ3ヵ月ほどで20円超、ドル高・円安が進行しました。現在のドル円の実勢レートは購買力平価を踏まえると、ドル高・円安方向にオーバーシュートして(行き過ぎて)います(図表2)。

 

(注)データは1971年1月から2022年4月。1973年3月基準の相対的購買力平価。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]ドル円の購買力平価 (注)データは1971年1月から2022年4月。1973年3月基準の相対的購買力平価。
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

購買力平価では、物価の高い国の通貨は減価するため、現状の日米物価格差が続いた場合、ドル円は長期的にはゆっくりとドル安・円高地合いに戻るという動きが想定されます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年後半の「ドル円相場」を展望する【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
TOPへ