毎月支払われる給与。そこから引かれる年金保険料に「高いなあ……でも自分たちも将来、年金で暮らしていくわけだから仕方がないか」と納得している人も多いでしょう。しかし現役世代の人たちが年金を手にするときには、とてもそんな状況にはないかもしれません。みていきましょう。
夫婦で年金「平均21万円」だが…「年金をあてにする」日本人に訪れる、恐ろしいいリスク (写真はイメージです/PIXTA)

今後の日本では「年金に頼ること」がリスクとなる

多かれ少なかれ、老後の生活は年金が頼り。しかし年金への依存が高いと「もう生きていけない」と窮地に陥るリスクを、わたしたち、日本人は抱えています。

 

昨今、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した物価高で、家計が苦しいという話題であふれていますが、そんななか、年金受給額の減額というニュースが報じられました。

 

そもそも年金の受給額は、下記のような計算式で算出されています。

 

■基礎年金

780,900円(平成16年度額)×改定率×保険料納付月数/480月

 

■厚生年金(報酬比例部分)

平均標準報酬額※×5.481/1000×被保険者の月数

※過去の標準報酬に再評価率を乗じて現在価値に置き換える

 

そして年金受給額は物価と賃金の変動率に加えて、マクロ経済スライドによる調整が行われ、毎年金額が決められてきました。そのため、年によっては減額となってしまう場合があるのです。

 

さらに年金制度を持続させるために、ルールが改定。もともと、「新規裁定者(新たに年金を受給し始める人)」は賃金の変動率に合わせて改定、「既裁定者(すでに年金を受給している人)」は物価の変動率に合わせて改定という基本ルールがありました。

 

さらに物価は上昇、賃金は下落という場合は、新規裁定者・既裁定者とも年金額を改定しないというルールがありましたが、改定により、物価は上昇、賃金は下落という場合は、賃金変動率により年金額を改定することとなったのです。

 

つまり、賃金が下落すれば、年金も減るということです。

 

日本人の平均給与は、不良債権問題が本格化する前の1990年代後半に最高値に達してから下落に転じ、リーマンショック後には平均給与400万円のラインを割り込む寸前までになりました。その後、アベノミクスにより経済が好転すると、少しずつ戻り始めましたが、いまだ、20年前の水準にまで戻っていません。

 

今後もこの日本で物価以上に賃金が伸びることは期待薄。現役世代と同様に、年金生活者もまた明るい未来は描けません。

 

そのようななか急なインフレ。デフレに慣れきった日本人には、実際の物価上昇以上のインパクトを与えています。現役世代であれば、副業で手取りを増やすという手もあるでしょう。しかし年金生活者はそうはいきません。ただ耐えるしか、選択肢はないのです。