大学進学時に奨学金に助けられたという人は多いでしょう。ただ卒業後、給与がまだ少ないなか、返済していくのは大変なこと。なかには月々の返済の目途も立たないような状況下にいる人たちもいます。奨学金返済の実情をみていきます。
手取り18万円…「奨学金、月1万円の返済もツライ」大卒・非正社員の悲劇 (写真はイメージです/PIXTA)

給料が安すぎて、奨学金が払えません!延滞者の主張

進学を後押ししてくれる「奨学金」。返還不要というものもありますが、基本的に卒業後、返済していく必要があります。ただ意外にもその事実を知らないで奨学金を利用。後日その事実をしって「えっ!?」となる人も多いようです。

 

独立行政法人日本学生支援機構『令和元年度奨学金の返還者に関する属性調査結果』によると、奨学金の返済義務を知時期として、「申込手続きを行う前」と回答したのが、奨学金の返済を一度も遅れていない無延滞者で89.4%。一方、返済遅れの経験者である延滞者では50.3%。延滞者は、4人に1人が貸与が始まってから奨学金に返済義務があることを知っています。だからこそ、延滞してしまった……という事情もありそうですが。

 

さらに延滞者と無延滞者についてみていきましょう。

 

まず職業。無延滞者では「正社員」が74.3%。対して、延滞者では40.7%。延滞者では「非正社員」が30.9%、さらに「無職」が14.6%となっています。

 

【奨学金返済者の職業】

■無延滞者

  • 正社員:74.3%
  • 非正社員:13.9%
  • 自営業:2.5%
  • 学生:1.2%
  • 専業主婦(夫):3.7%
  • 無職:4.0%
  • その他:0.3%

 

■延滞者

  • 正社員:40.7%
  • 非正社員:30.9%
  • 自営業:7.0%
  • 学生:0.2%
  • 専業主婦(夫):4.6%
  • 無職:14.6%
  • その他:2.0%

 

さらに年収についてみていくと、無延滞者では「年収300万円以上」が55.6%に対し、延滞者では27.5%。「年収300万円以下」が延滞者では69.6%にもなるなど、やはり低収入が奨学金返済の大きな妨げとなっている実情を垣間見ることができます。

 

【奨学金返済者の年収】

■無延滞者

  • 300万円以下:42.4%
  • 400万円以下:21.2%
  • 500万円以下:13.3%
  • 600万円以下:8.9%
  • 600万円以上:12.3%
  • わからない:1.9%

 

■延滞者

  • 300万円以下:69.6%(0円:12.2%、~100万円:16.0%、~200万円:18.9%、~300万円:22.6%)
  • 400万円以下:14.0%
  • 500万円以下:7.2%
  • 600万円以下:2.6%
  • 600万円以上:3.6%
  • わからない:2.9%