タワマンの増加で新規分譲マンション平均価格上昇
国土交通省『令和3年度版土地白書』によると、2021年のマンションの新規供給戸数は、全国で7万7,552戸で、前年比29.5%の増加。そのうち首都圏が3万3,636戸と前年比23.5%の増加。全体の4割強を占めています。
新築マンションの供給は、90年代後半の規制緩和により、都心で高層化が容易になったことで2000年前半に大きく増えましたが、リーマンショックで減少。その後は大きな増減はなく、ある程度一定の供給数を誇っています(図表1)。
一方、新築マンション価格についてみていくと、首都圏で2021年4~6月期に1平米あたり単価が100万円を超えたが、その後90万円台まで下落。近畿圏は年間を通して上昇しています。ただ細かな増減はあるものの、全体として上昇傾向にあります(図表2)。
このマンション業界の活況を支えているのが高層マンション、いわゆるタワーマンションです。法的根拠があるわけではありませんが、高さ60メートル以上、20階以上をタワマンと呼ぶことが多いようです。
前述の通り、タワマンが増えたのは90年代後半の規制緩和がきっかけ。それまで日照権などの問題から、高層マンションといえば、少々郊外で広い敷地を有するところにポツンと建っている、というのが一般的でした。しかし規制緩和により、都心で建設ラッシュが始まります。
「タワマン=資産性が高い」といわれますが、都心という一等地に立地することが大きな要因。昨今続々と誕生しているタワマンは、都心のほか、郊外でも駅前(なかには駅直通というものまで)というロケーションに建ちますが、築古のタワマンは、必ずしも資産性が高いか、といえば疑問符がつきます。
ただタワマンはその規模感を活かし、24時間のコンシェルジュサービスなどのサービス、入居者専用のジムやラウンジなどの施設など、充実したサービス・ファシリティを売りにしているところも多く、資産性アップの要因になっています。
また「タワマン=眺望が良い」ともよくいわれますが、それはあくまでも高層階に限定するもの。高層階は郊外であっても億を超え、地元の富裕層などがターゲット。一般層がターゲットとなる低層階は、普通のマンションと変わらないという声も聞かれます。