岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」。グランドデザインと実行計画の案をみると、国が「上がらない給与」を問題視し、対策を講じようとする姿勢がみえてきました。そんな日本人の給与の実情をみていきましょう。
平均23万円…日本のサラリーマン、あまりに惨めな「手取り額」 (写真はイメージです/PIXTA)

2000年以降、日本は本格的に「給与が上がらない国」になった

戦後、日本人の給与は増え続けるのが当たり前でしたが、その常識が終了したのが、バブル崩壊後の1993年。前年455万円から452万2,000円と、前年比0.6%減を記録しました。ただこのときも企業業績の落ち込みから賞与減となったことが要因で、賞与を除く給与は増加が続いていました。

 

賞与を除く給与が前年比マイナスを初めて記録したのは2001年。前年380万3,000円だったのが、2001年は376万5,000円と、前年比1.0%減。以降、2000年代は、2007年と2010年を除き、賞与を除く給与は前年比マイナスを記録しました。本格的に日本が「賃金があがらない国」となったのは、2000年以降といえます。そして2000年代の給与の落ち込みはいまだカバーできず……現状の給与水準は20年前を下回るという、あまりに惨めな状況です。

 

さらにこの20年の日本人の給与の推移を細かくみていきましょう。

 

まずは年齢別。全体としては30〜40代前半の給与の減少が目立ち、特に30代後半で前年比88.20%と下落幅が最も大きくなっています。30代後半は、大卒であれば2000年以降に就職をした世代。ちょうど、日本の賃金が下降の一途を辿ったとき。そのあおりを一番受けた世代といえそうです。

 

【年齢別「対2000年の2020年の給与」】

  • 20~24歳:96.5%
  • 25~29歳:101.0%
  • 30~34歳:92.8%
  • 35~39歳:88.2%
  • 40~44歳:91.5%
  • 45~49歳:95.3%
  • 50~54歳:94.8%
  • 55~59歳:96.2%

 

勤続年数別にみていくと、特に35年以上と勤続年数が高い層の給与が減少したことがわかります。この20年、人材の流動化が進み、「給与を上げるために転職する」というのも珍しいことではなくなりました。そのようななか、単に長く勤めることは、給与が減るリスクをはらむようになったといえるかもしれません。

 

【勤続年数別「対2000年の2020年の給与」】

  • 1~4年:99.0%
  • 5~9年:92.5%
  • 10~14年:94.4%
  • 15~19年:92.1%
  • 20~24年:95.5%
  • 25~29年:92.0%
  • 30~34年:90.8%
  • 35年以上:82.7%